[ワシントン 19日 ロイター] - 19日にワシントンで開催された米中両政府の閣僚級による第1回包括経済対話は、米国が「一段と公平な」通商関係を求めるなか、双方とも対話後の記者会見を中止し、共同声明が出ないなど、両国関係の先行きが再び懸念される結果となった。

米国のロス商務長官は冒頭発言で、中国の3470億ドルの対米貿易黒字を批判。こうした黒字は市場原理を通して形成されたものではないとし、米中関係は「一段と公平、かつ公正で、相互的」になる必要があるとの考えを示した。

さらに「米製品の対中輸出拡大を通して2国間の貿易を一段と均衡化させる必要がある」と指摘。「貿易障壁の撤廃にともに取り組むことができれば、こうしたことの実現に向けた機会は多く存在する」と述べた。

この日は午後遅くに対話の内容を説明する記者会見が予定されていたが米中両国はこれを中止。米財務省も中国大使館も中止の理由は説明していない。

中国との貿易事情に詳しい専門家はこの日の対話で、鉄鋼やハイテク製品などを巡る摩擦などの大きな問題について解決策は得られないものの、小さな規模での何らかの合意は得られるとの見方を示していた。

しかし実際には、新たな通商合意の発表はなかったため、市場ではトランプ政権が鉄鋼製品への輸入割り当てや関税の導入に向かう可能性が高まったとの見方から、鉄鋼株が急伸した。

USスチール<X.N>は4.8%高、AKスチール<AKS.N>は3.6%高、ニューコア<NUE.N>は2.2%高で引けた。

市場の取引終了後、トランプ大統領は記者に対し、鉄鋼製品に対する輸入関税を導入する可能性があるとの考えを示した。鉄鋼関税は数週間以内に発表される可能性がある。

米国のムニューシン財務長官は、中国は輸出・投資依存型の経済から家計消費に根ざした経済へ再均衡化する必要があるとの見解を表明。 「中国の金融産業に外国勢が参入できれば、経済の最も生産性の高い分野への資源分配が促進され、世界的な金融システムの強化に貢献する」と述べた。

この日の対話にはトランプ大統領の娘婿で大統領上級顧問を務めるジャレッド・クシュナー氏も参加している。ただ国家通商会議(NTC)のピーター・ナバロ委員長は冒頭発言が行われていた際、対話の場に姿を現さなかった。ナバロ氏は中国の通商慣習に対し批判的であることで知られている。

こうしたなか中国の汪洋副首相は、両国は健全な対話を維持する必要があり、貿易を巡り対立構造が発達することに対し警告。「対話を通して直ちにすべての相違点について対応することはできないが、対立すれば双方の利益が直ちに阻害される」と述べた。

トランプ政権は北朝鮮の核・ミサイル開発プログラムを巡り中国に対し同国に一段と圧力を掛けるよう要請。北朝鮮対応の成果を中国との通商協議に関連付けている。今年の対話は従来のように明確な戦略・安全保障に関する項目は設定されていないが、北朝鮮問題についても協議すると見られる。

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