人材育成と企業防衛にも資する人事評価システム

 そして、生産性をアップする上で有効なのがあしたのチームが開発した人事評価システムだという。すでに1000社以上が導入している同システムは、具体的にどのような効果をもたらすだろうか?

「当社の人事評価システムは単に給与を査定するだけのものにとどまらず、人材育成にも資するのが大きな特徴。人材育成とはすなわち、生産性の向上に直結するものです。私たちの人事評価システムは、各々の社員が行動目標を自己設定したうえで、それらがちゃんと達成できているか否かを四半期ごとに絶対評価によって査定し、必ず給与にその結果を反映させることが大前提となっています。こうした四半期間隔でこうしたサイクルを循環させていけば、必ずや社員たちの意識が変わってくるものです」(高橋社長)

 目標に未達だった社員はマイナスの査定となるが、そういった人材はかねてから生産性が低かったとみなしても差し支えがないだろう。その一方で、成果を上げた社員は着実に昇給を果たせるので、彼らの士気はおのずと高まることになり、生産性の向上に結びつくわけだ。

 しかも、あしたのチームの人事業評価システムは企業防衛という観点においても効力を発揮するという。

「中小企業では一般社員と社長がつねに対峙しており、給与の査定から日々のマネジメントに至るまで部署や中間管理職を介することなく、すべてトップが直接的に関与しています。ところが、業績を伸ばすという点では社長と従業員が同じ方向をめざしていても、給与を払う側と給与をもらう側という点においては立場が180度異なっているものです。言葉尻一つを捉えて労使紛争が起きたり、小さな不利益変更でさえ訴訟沙汰になったりする今の時代において、中小企業における社長と社員の関係は危うさを秘めています。たとえば、店長に抜擢したものの、期待を下回る成果しか上げられなかったので解任するといったトップダウンの人事は中小企業において珍しくないでしょう。しかしながら、『合理的な判断に基づき、再三にわたって改善を促したにもかかわらず成果が上がらず、本人もそのことを認識している』というプロセスを経ていなければ、社長は訴訟に負けてしまうのです」(高橋社長)

 だからこそ、人事評価システムを通じて個々の社員の成果に絶対評価を下し、優秀な人には昇給で報いる一方で、不振だった人には改善を求めてきたという足跡を残しておくことが重要なのだ。むしろ、人数の少ない会社のほうが労使紛争のリスクが高く、労働法に基づく行政の厳しい指導下において、中小企業には「人を採る=リスク」となっていると高橋社長は訴える。

 周知のとおり、政府は働き方改革を進めているが、その内容は経団連や連合の意向を踏まえた、いわば大企業の論理に基づいたものだ。一律的な時間外労働の短縮をはじめ、中小企業には受け入れがたいものが少なくない。

「そもそも大企業は守られており、倒産確率は低いし、生涯賃金も相対的に高い。しかも、崩壊しつつあるとはいえ、終身雇用、年功給、企業別組合という三種の神器のもとで集団管理システムが機能してきました。新卒入社から定年までの40年間にわたって働き続けるなら、生活水準に応じて給与を引き上げていく年功給でまったく問題がなかったわけです。しかし、今の時代に求められているのは、人材の成長に応じて給与を引き上げていくシステム。つまり、個々の社員の働きぶりを時価で査定することなのです」(高橋社長)

【PR】