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【第5回】 2017年7月25日
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矢作直樹

壊れた人間関係は
3つのルールで修復できる

昨年3月に長年勤務していた東大病院という組織を離れ、現在はどこにも所属することなく、「ひとり」という状態を満喫している矢作直樹医師が、新刊『今を楽しむ~ひとりを自由に生きる59の秘訣』で率直に語った、「ひとりは寂しい」という世間の思い込みに振り回されることなく、ひとりであるという自由な時間を有意義に過ごす秘訣を紹介します。

「ほじくらない」「長引かせない」「悟る」

矢作直樹(やはぎなおき) 1956年、神奈川県生まれ。81年、金沢大学医学部卒業。その後、麻酔科を皮切りに救急・集中治療、内科、手術部などを経験。99年、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻および工学部精密機械工学科教授。2001年、東京大学大学院医学系研究科救急医学分野教授および医学部附属病院救急部・集中治療部部長となり、15年にわたり東大病院の総合救急診療体制の確立に尽力する。16年3月に任期満了退官。 著書には『人は死なない』(バジリコ)、『天皇』(扶桑社)、『おかげさまで生きる』(幻冬舎)、『お別れの作法』『悩まない』『変わる』(以上、ダイヤモンド社)など多数がある。
撮影:松島和彦

 人と人の関係が決裂する際には、その前に必ず「予兆」があります。
 その予兆に気づけるか、気づかないか。それだけで相手との関係が大きく変わります。

 私自身、かつて離婚を経験していますが、世の大方の離婚は「相手のロジックを解釈できなかった」ことが理由ではないでしょうか。ロジックとは論理、理屈のことです。相手の論理、理屈は「相手の都合」と言い換えてもいいでしょう。

 この「相手の都合を解釈できない」のが、関係が崩壊する主因です。
 相手の都合は、どこかで必ず言動となって表面化します。
 これが予兆です。

 そもそも人は、自分勝手な都合で生きています。
 勝手ながらも人は、親や兄弟・姉妹と関係を営み、友人や恋人と関係を営み、配偶者と関係を営み、同僚と関係を営もうとします。だから問題が起きるのです。

 その勝手な都合を、自分が解釈できるか? 受け止められるか?

 危機的な状況で、表面化している予兆に気づくかもしれません。予兆に気づいてはいるけれど、あえて関係が壊れることを望んで放っておくかもしれません。

 関係が壊れる時の背景というのは多様です。

 私が東大病院で救急部長を拝命してしばらくすると、下にいた医師が「ついていけない」と辞めていきました。看護師で辞めた人もいました。関係が壊れたのです。
 理由は単純明快です。私自身も、辞めたスタッフも、お互いが相手のロジックを解釈できませんでした。結果的に壊れるべくして壊れたわけです。

 その壊れた関係を戻す(修復する)手立てもあります。

 (1)NGワードには触れない(ほじくらない)
 (2)仲直りの言葉を決めておく(長引かせない)
 (3)人は完全にはわかり合えないと知る(悟る)

 ほじくらない、長引かせない、悟る。
 この3つは、私の友人たちもよく話す「関係修復のルール」です。

 このうち、夫婦や親子間での仲直りの言葉として、「ご飯にしようか」という台詞を関係修復のルールと決めている友人もいます。
 夫婦でもめても、親子でケンカしても、自分の非を理解した上で「ご飯にしよう」と呼びかけるそうです。最初はぎこちないようですが、何度か繰り返すと、「またか」と相手が苦笑し、「はいはい」と折れるそうですから、効果はあるのでしょう。

 なぜ、この言葉に効果があるのかというと、ご飯は生活の基本のひとつだからではないでしょうか。一生に一回しか口にしないような非日常的な言葉だったら、仲直りの言葉にならないかもしれません。日常の言葉だからいいのでしょう。
 あきらめることにおいては、ひとつの決め台詞かもしれません。

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    矢作直樹(やはぎ・なおき)

    1956年、神奈川県生まれ。81年、金沢大学医学部卒業。その後、麻酔科を皮切りに救急・集中治療、内科、手術部などを経験。99年、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻および工学部精密機械工学科教授。2001年、東京大学大学院医学系研究科救急医学分野教授および医学部附属病院救急部・集中治療部部長となり、15年にわたり東大病院の総合救急診療体制の確立に尽力する。16年3月に任期満了退官。


    今を楽しむ

    どこの組織にも所属することなく、ひとりで暮らしている……そんな状況を人は「孤独」と思うのかもしれません。孤独というと、「ひとりは寂しい」などと、とかくネガティブなイメージを抱かれがちですが、それは世間から刷り込まれてきた思い込みにすぎないのではないでしょうか。ひとりという現状に、寂しさを感じるどころか、むしろ自由という喜びを感じているという医師が、やみくもにひとりになることを怖がり、明日の孤独死に不安を抱いて過ごしている人々に向けて贈る、ひとりであるからこそ得られる楽しみや喜びをしっかり感じて今という時間を有意義に生きるためのアドバイス。

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