問題は、第三の層、紐帯(ネットワーク)におけるリテラシーである。

 紐帯においては、コミュニケーションの共通言語である英語は必須である。ただそれはビジネス英語とは違う。文法や格式よりも、意味や思いを伝えることをより重視した別の技術である。

 それから、ITリテラシーである。この分野は新陳代謝が激しい。半年もすればほとんどのIT分野は主役が交代している。だからハード・ソフト・サービス問わず、新しく可能性のあるものを試し、生活に取り入れつづける意識的な努力が求められる。

 中級レベルでは、肩書きやプライドを捨て、どこへでも初対面でも飛び込んでゆく「度胸」、いつでも人に助けてもらえる「愛嬌力」が不可欠だ。

第2回では、お金を一切使わずにヨーロッパの国々で宿泊先を確保してゆく人を紹介した。日本中どこでも一ヶ月あれば、家と車と食事にタダでありつけると豪語する人もいる。このような能力はカネがあってもできるものではない。

 特に先進国では、ありあまるほどの余剰がある。住居で言えば、日本の空室率は25%にのぼる。やろうと思えばできるはずなのだ。成長が止まり物理的にゼロサムの世界では、このような資本主義の恩恵である余剰(カスミ)を喰らって生きてゆける力を養うことが、まさに求められている。

 さらに、高度なところでは、思索や経験を通して自らの信念、価値観、哲学ををクリアにし、国籍を問わずに互いの価値観や人間性をもってコミュニケーションを行い関係を構築してゆく「ネットワーキング」力が備わっているとよい。また、社会に対し貢献し、価値提供を行いながら、自らのクレジット(信用)をその紐帯の上に蓄え、養ってゆく「クレディットレイジング」力なども必要になるだろう。

 こうしたリテラシーを日々積み重ねてゆくことで、三層に分かれた世界を、より軽やかに闊歩することができるようになるだろう。


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