[20日 ロイター] - <為替> ニューヨーク外為市場では、ユーロが対ドルで急伸し、約2年ぶりの高値を付けた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が今秋に資産買い入れプログラム(量的緩和)の変更を協議すると発言したことが材料視された。

ユーロ/ドル<EUR=>は午前中に1.1655ドルと2015年8月以来の高値まで買われ、終盤は0.96%高の1.1625ドル。ドル/円<JPY=>は直近がほぼ横ばいの111.96円、主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.5%安の94.286だった。

ドラギ総裁は、量的緩和変更を議論する具体的時期があらかじめ設定されたわけではないと主張。またECBは政策運営指針(ガイダンス)も維持することを全会一致で決定した。それでも市場参加者の間では、秋に量的緩和変更が話し合われれば、来年の金融引き締めにつながるとの見方が広がった。

TJMブローカレッジの外国為替共同責任者リチャード・スカローン氏は「市場は9月に(量的緩和)縮小が始まるか、少なくともその方針が発表される可能性が十分あると見込んでいる」と指摘した。

アナリストによると、米上院における医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の頓挫や、弱い経済指標を受けた米連邦準備理事会(FRB)の年内の追加利上げ観測後退なども、引き続きドル安の要因となっている。

ファーストラインFXカレンシー・ストラテジーの創設者ジェーソン・ラインワンド氏は「(トランプ)政権が何の改革も実行できないため、ドルが苦境に置かれている」と述べた。

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが横ばいで推移。欧州中央銀行(ECB)がこの日の理事会で超緩和スタンスを維持したことから買いが先行したものの、米10年物インフレ指数連動債(TIPS)入札が低調に終わったことで、相場は伸び悩んだ。

ドラギ総裁は理事会後の会見で、緩和策調整に関する選択肢の策定をスタッフ委員会に指示しなかったと表明。この件に関しては、秋にあらためて議論するとした。近年、主要な政策変更の多くは、スタッフ委員会による下準備がまず発表されてから実行に移された経緯があり、指示しなかったとする総裁の発言は大きな意味合いを持つ。

米国MUFG証券(ニューヨーク)の米国債トレーディング部長、トーマス・ロス氏は「足元インフレが主要な材料となっており、何か変化が起きないかぎり、相場はインフレ動向に左右されるだろう」と述べた。

<株式> 米国株式市場は横ばい圏で取引を終えた。小売り株は全般に軟調だったが、マイクロソフト<MSFT.O>が上昇してナスダック指数は小幅高となった。

小売り大手シアーズ・ホールディングス<SHLD.O>がアマゾン・ドット・コム<AMZN.O>との提携を発表。傘下の家電ブランド「ケンモア」の製品をアマゾン経由で販売し、スマート家電の分野でもアマゾンの音声認識技術「アレクサ」と連携すると発表した。シアーズは株価が急伸して10.6%高で終了。アマゾンも0.2%上げた。

しかし小売り大手2社の提携を嫌い、他の小売り株は下落。ホームセンター最大手のホーム・デポ<HD.N>が4.1%下げて主要指数を押し下げたほか、ホームセンターのロウズ<LOW.N>、家電量販のベスト・バイ<BBY.N>やワールプール<WHR.N>などが軒並み売り込まれた。

マイクロソフトは0.5%高で取り引きを終了後、時間外で上げ幅を広げた。四半期決算がクラウド事業の好調で大幅な増益となったことが好感された。

利益見通しが予想を下回った通信用半導体のクアルコム<QCOM.O>は4.9%下げた。

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、ドル安・ユーロ高に伴う割安感を追い風に買いが入り、5営業日続伸した。

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がこの日の記者会見で、量的緩和策について、来年以降の方針を「秋に議論する」と表明したことなどを受けて、外国為替市場ではドル安・ユーロ高が進行。ドル建てで取引される商品に割安感が強まったことから、金買いが加速した。

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、高値警戒感などから利食い売りが台頭し、3営業日ぶりに反落した。

米エネルギー情報局(EIA)週報で石油製品在庫の大幅な取り崩しが明らかになった上、製油所の稼働率が改善しており、近いうちに原油在庫の一段の減少が見込めるのではないかとの期待が高まった。また、サウジアラビアが新たな減産を検討しているとの報も支援材料となったもよう。

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