親の収入はいくらなのか、
知っている子どもは少ない

 経済学部の学生ですら、投資についてのイメージを聞くと、

「怖い、危ない」
「ギャンブル」
「汚いもの」

 と散々な感想です。
 恐らく、今の若い皆さんは、親御さんから、

「お金は汗水たらして働いて得るもの」
「投資は怖いもの。普通の人はしてはいけない」

 というふうに言われて育ってきているのではないでしょうか?
 皆さんの中には、ご両親ときちんとお金について話し合ったことがある人はいるでしょうか?

 親の収入はいくらなのか、資産運用はしているのか、そして、資産はいくらぐらいなのか……。知っている人は少ないと思います。

 親のほうも、お金のことを子どもと話すなんて難しいし、そもそも親のお金をあてにされていても困る、親のほうが資産運用などを考えたことがないのでわからない……といった感覚をお持ちなのかもしれません。

 そして、日本人特有の「お金について話すのは卑しいことだ」などと思っているご家庭も多いのではないでしょうか。

新しいお金の常識を
身に付けよう!

 しかし、これからの時代を生きて行くためには、お金に関する最低限の知識、つまりマネーリテラシーを身に付けておいたほうが良いと思います。なぜなら、それが自分の生活、人生を守ることにつながるからです。

 多くの親はお金の話をすることを嫌がります。これは、本当に大きな問題だと思います。というのも、子供のお金に関するセンスは、親の影響が非常に大きいからです。

 皆さんが結婚して子供が出来た時、子供たちの世代は、今以上にお金に対するセンスが求められるような時代になるでしょう。だから、皆さんがご両親から「カネの話なんかするな!」と言われたとしても、皆さんが自分の子供の世代を考えるならば、皆さん自身がお金の教養を高めなければなりません。

 この本はこういった現状をふまえて、親や教師に刷り込まれた前時代的なお金の知識を捨てて、これからの成熟社会を生き抜いていくための、「新しいお金の知識」を身に付けてほしいと思って書きました。
 若者世代はもちろん、親世代にとっても新しいお金の知識が、これからの資産形成の一助となることを願ってやみません。

貯金はするな! 保険は入るな!<br />お金の常識を疑え!

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役社長
大学卒業後、現クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立、07年4月より現職。現在、口座開設数12万人超、預かり資産1800億円を突破。著書に『最新版! 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』(共にダイヤモンド社)、『退職金バカ 50歳から資産を殖やす人、沈む人』(講談社+α新書)他多数。