7月24日、デジタル仮想通貨ブームに一枚加わろうとしのぎを削る米ベンチャーキャピタル(VC)会社が、かつて経験したことのない壁にぶつかっている。写真はパリで2015年5月撮影(2017年 ロイター/Benoit Tessier)

[ニューヨーク 24日 ロイター] - デジタル仮想通貨ブームに一枚加わろうとしのぎを削る米ベンチャーキャピタル(VC)会社が、かつて経験したことのない壁にぶつかっている。仮想通貨を手掛ける新興企業は資金を必要としていないのだ。

 ほんの数年前まで、仮想通貨の起業家も他のハイテク起業家と同じく、VCに事業構想を売り込んで資金を出してもらう必要があった。事実上、唯一の資金源であるVCに命運を握られていた。

 しかし今、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を利用する新参企業は、いわゆる「イニシャル・コイン・オファリング(新規通貨公開=ICO)」を通じ、規制も受けずに即座にデジタル通貨を創出、売却して数百万ドルを調達することができる。これによってVCとの関係は逆転した。

 VC企業アウトライヤー・ベンチャーズの創設者であるジェイミー・バーク最高経営責任者(CEO)は「VCが手の届かないエリートで、スタートアップ企業にとって主な資金源だった日々は過ぎ去った」と語る。

 バーク氏は、6月に仮想通貨「ベーシック・アテンション・トークン(BAT)」を発行したウェブブラウザ、ブレイブの例を引き合いに、「スタートアップが30秒で3500万ドルを調達し、何ら価値の希釈も起こらなくなった以上、もう精霊は瓶から飛び出して元には戻らないということだ」と説明した。

 仮想通貨調査会社スミス・プラス・クラウンがロイターのためにまとめたデータによると、年初から7月半ばまでに発行された仮想通貨は89種類、調達額は約11億ドルで、昨年1年間の約10倍に達した。

 これに対し、コインデスクのデータによると、ブロックチェーン企業が上期にVCから調達した資本は3億ドル強にとどまる。