資本力の強みを生かして
日中以外でも積極展開

 中国での事業展開も、GLプロパティーズの大きな強みである。日中間の物流が拡大するなかで、日本の顧客に中国の物流施設を提供する機会も増えている。そこで、同社は中国にジャパンデスクを設置。日本語で対応できる体制を整えた。三木氏は「非常に多くの問い合わせをいただいており、ジャパンデスクは対応に追われている状態です」と明かす。

 日中にまたがる市場において、同社は不動産会社としてのノウハウを核に三つのソリューションを提供している。

 第1にマルチテナント型施設によるサービス。これは、顧客が1フロア、半フロアといった単位でスペースを借りるという形態だ。同社は大規模施設を多く保有しており、最大のものは延べ床面積15万平方メートルを超える。このスケールがあるからこそ、施設内にカフェテリアを設置するなどさまざまな付加価値の提供が可能になる。

 第2にBTS(Build to Suit)型施設の提供。顧客のニーズを聞いたうえで、適地の不動産を探して施設の概要や賃料などを提案するというものだ。たとえば、「北関東近郊に3万平方メートルのスペースが欲しい」という要望に対して、具体的なソリューションを示すことができる。

「土地を探す能力があり、施設の設計者がいる。さらに、プロパティマネジメントのノウハウがある。これらの条件を揃えているからこそ、顧客満足度の高いBTSが可能になります」と三木氏は言う。

 第3にアクイジション事業である。これは、他社物流施設の買い取りから始まるビジネスだ。買い取り後、元保有企業にリースバックすることもあれば、マルチテナント型施設として運用するケースもある。

 3つのソリューションを基盤として支えているのが、GLプロパティーズのファイナンス力である。同社は昨年10月にシンガポールで上場し、2400億円を超える資本を調達した。

「不動産事業は元来、資本集約的な産業です。グループ総資産は約1兆円。この規模と信用力を生かして、より使いやすく効率的な施設をさらに拡充する予定です」と三木氏は言う。

 日本全国に存在する倉庫には狭い・古い、しかも使いにくいものが多く、GLプロパティーズのような近代的な物流施設は全体の数%にすぎないとか。三木氏は「近代的な施設への移行というトレンドがますます今後も強まる」と見る。同社にとって大きなビジネスチャンスだ。

 また、国内だけでなく三木氏は海外にも視野を広げている。今後は日中の枠を超え、市場の広がりが予見されるインドなどアジアでの事業展開をさらに強化する考えだ。