親の三毒が子どもを押しつぶす

仏教では、煩悩の中で最も戒めるべきものを「三毒(さんどく)」と言います。

次の3語のそれぞれの1文字をとって「貪瞋痴(とんじんち)」とも呼ばれます。

貪欲(とんよく)……貪り(欲深く、際限なく欲しがること)
瞋恚(しんに)……怒り(自己中心的な心で腹を立てること)
愚痴(ぐち)……愚かさ(道理をわきまえず、愚痴を言うこと)

スポーツに限らず、学校の成績や進学、就職、結婚など、子どもの成長に応じたさまざまな節目で、親の「三毒」が顔を出します。

「子どもは親とは違う人格だ」と頭ではわかっていても、なかなか自分の煩悩から離れられないのが人間の哀しさです。

親心からよかれと思ってやることが、知らず知らずのうちに子どもを苦しめている場合があります。

子どもが優秀であればもっと上をねらわせたくなり、そうでなければ、せめて人並みにと望んでしまう。

それもまた、人間の業(ごう)なのでしょう。

子どもが言うことを聞かない、思いどおりにならないと嘆く前に、自分の中に「三毒」がないか、見つめてみてください。

そして、「子どもは自分の思いどおりになるはずだ」という期待を手放してください。

さらに、できるだけ欲から離れ、怒りを鎮め、愚痴を抑えるように心がけましょう。

そして、常に喜んで子どもの役に立つように努め、笑顔を絶やさず、感情に流されず、愚かな言動を慎めばよいのです。

親が「三毒」を消せば、子どもは自然とやる気を出し、成長していきます。

親の過大な期待で、子どもを押しつぶさないように注意してください。

●チェックポイント
子どもの努力や成長を評価していますか?
子どもに自分の理想を押しつけていませんか?