[東京 28日 ロイター] - 総務省は28日、2017年版の「情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)を公表した。今年を「ビッグデータ利活用元年」と位置付け、その利活用の重要性を指摘する一方、個人情報の取り扱いに対する国民の不安は依然根強いとして、企業により一層説明責任を果たすよう求めた。

今回のテーマは「データ主導経済と社会改革」。人工知能(AI)やすべてのモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)がけん引する「第4次産業革命」を展望するとともに、データや情報通信技術(ICT)の利活用による社会的課題の解決などについて分析した。

ビッグデータについては、2016年から2017年にかけて官民データ活用推進基本法の制定や改正個人情報保護法の全面施行など法整備が進んだことから、今後はデータの利活用が加速すると予想、「ビッグデータ利活用元年」になるとの見方を示した。

ただ、ビッグデータを巡っては、企業が利活用に意欲を持つ一方で、個人はパーソナルデータの提供に不安感を抱いていることも調査でわかった。総務省の「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」によると、データの提供に不安を感じている人は全体の8割を超え、企業と認識にギャップがあることが浮き彫りとなっている。

こうした状況を踏まえ、白書は企業がより一層個人に対する説明責任を果たし、利用者の理解・認識を高めることが重要だと結論付けた。

また、データ利活用の重要性を指摘する一方で、データ寡占化により顧客が特定の製品やサービスに固定化され囲い込まれる「ロックイン効果」が生じた場合、競争環境が阻害される可能性について懸念も示した。

白書はこのほか、IoT化と企業改革などが進展した場合、2030年の実質国内総生産(GDP)は725兆円になると推計。潜在成長率並みに推移すると仮定したベースシナリオの593兆円に比べ、132兆円の押し上げ効果があるとの試算結果も明らかにしている。

(志田義寧)