[東京 28日 ロイター] - 日銀が7月19、20日に開いた金融政策決定会合では、目標に掲げる物価2%の達成時期を「2019年度ごろ」とし、黒田東彦総裁の就任以降6回目の先送りとなったことについて、一部の政策委員が「信認にかかわる」と懸念を表明していたことがわかった。それでも複数の委員が物価2%目標に向けた「モメンタムは維持されている」と主張し、金融政策の現状維持が賛成多数で決まった。

日銀が28日公表した決定会合の主な意見で明らかになった。

会合では、新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」についても議論を行い、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)見通しを下方修正するとともに、目標とする物価2%の到達時期を「19年度ごろ」に1年先送りした。

物価見通し下振れの理由について委員からは、賃金上昇コストをサービス削減などで企業が吸収していることが指摘され、こうした価格転嫁を回避する行動は「成長期待が乏しいためで、金融政策とともに成長期待を高める構造政策が重要」との意見が出た。

先行きに関しては、複数の委員が「失業率がさらに低下し、需給ギャップのプラス幅が拡大するもとで、物価は経験則に沿って上昇していく」、「人手不足感がますます強まる中で、いずれ賃金上昇圧力がかかり始める」などと主張。

多くが需給ギャップの改善などを根拠に「2%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されている」との判断を示し、現行の長期金利をゼロ%程度に誘導する緩和策を粘り強く続けていくことで「金融政策の景気刺激効果は強まる」、「効果を見守ることが肝要」との見解を示した。

一方、2%到達時期の先送りが繰り返されていることに対し、一部委員が「日本銀行の物価見通しの信認にかかわる」と表明。物価安定目標を「中長期的かつ柔軟な目標と位置づけることが適当」と提言している。

企業のコスト吸収努力に関しても、「生産性の上昇余地はサービス業でなお大きく、雇用ひっ迫が賃金・物価の上昇に波及するまでには距離がある」との見方も示された。

また、長期金利の操作目標であるゼロ%程度の「範囲をあまりに狭く解釈するべきではない」との指摘や、年間約6兆円の買い入れを続けている上場投資信託(ETF)について「買い入れの継続の是非について、今後議論が深まることを期待する」との発言もあった。

(伊藤純夫)