中国全土が共産党大会に向けて厳戒ムードに突入

全国の政治が
十九大モードに入っていく

「十九大をどう報道するかは我々にとっても一大事だ。最近はそのための準備期間。今回もその件で上京した」

 先週、湖南省共産党委員会で宣伝を担当する幹部が北京の一角で私にこう語った。“十九大”とは共産党の第19回大会を指す。いま現在、北京で本稿を執筆しているが、私はこの地、およびそれに服従する全国各地の政治が十九大モードに入っていく空気を感じている。政治だけではない。市場も世論も、そして人民の生活さえも、ここで暮らす少なくない人々が十九大という中国共産党にとっての一大事を意識して、念頭に置きつつ、これからの数ヵ月を暮らすことになる。

 私の個人的な経験でいえば、党大会が閉幕する前の期間、中国本土において政治的に敏感な文章を掲載したり、中国政治に何らかの形で関係する書籍を出版したり、共産党に批判的な研究プロジェクトを申請・実施したりすることは困難になる。

 むろん、100%不可能というわけではないし、そこに何らかの明確な基準が存在するわけでもない。けれども、関係者は皆、お上の顔色をうかがって保守的かつ後ろ向きになる。政治リスクを背負いたくないからだ。

 7月26?27日、北京で省部級主要領導幹部を対象にした“習近平総書記の重要談話精神を学び、党の19回大会を迎えるための”勉強会が開かれ、習近平総書記本人が重要談話を発表した。

 中央政治局常務委員全員(7名)、後述する1名を除いた政治局委員(常務委員7名を含む24名)、その他中央書記処書記、全国人民代表大会副委員長、全国政治協商会議副主席、国務委員、最高人民法院院長、中央軍事委員会委員といった最高幹部も出席した。出席者の大半は地方の省長級や国務院各部署の部長級幹部である。共産党は党内で政治理念やイデオロギーといった分野で団結を強化するためにあらゆる勉強会を開催するが、今回の勉強会は最高クラスと言っていいだろう。