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借りたら返すな!
【第7回】 2017年8月9日
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大久保圭太

税理士はお金の専門家ではない!

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「会計」と「財務」の違いを知る

 「お金のことは全部税理士さんに任せています」

 そのように言う経営者の方をよく見かけます。毎月試算表を持ってきて数字の打ち合わせをしているから、お金の専門家のように感じるのでしょう。

 しかし、税理士はお金の専門家ではありません。税金の専門家です。お金のこと、財務のことを知っているかどうかと税理士資格はまったく関係がないのです。

 そもそも税理士試験というのは、会計2科目(簿記論・財務諸表論)と法人税法か所得税法の必須3科目のほかに、相続税法・消費税法または酒税法・国税徴収法・住民税または事業税・固定資産税の中から2科目受かればいいという制度になっています。

 このほかに、例外的に大学院での研究内容によっては、博士号または修士号を取得すると試験科目を一部免除されたり、国税OBと呼ばれる課税庁での勤務期間に応じて試験科目を一部免除される制度があったりといろいろややこしいのですが、皆さんの顧問税理士は、どういう経緯で税理士資格を取得したかご存じでしょうか? 

 一度確認してみることをお勧めします。税金の専門家といっても酒税法と国税徴収法を合格した税理士に相続税の相談はしたくないですよね? 

 もちろん、実務経験が豊富であれば問題ありませんが、単純に税金の専門家といっても人によって知識・経験がバラバラなのです。

 でも、「会計の勉強をしたんだから、お金のことが分かるんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

 ここで、「会計」と「お金=財務」の違いについて整理してみましょう。

「会計」は過去の取引を整理するものです。会社の請求書や領収書を整理して、資産・負債・損益と仕訳をして利益を算出します。税理士さんとの打ち合わせも先月はああだった、こうだったと過去の話が中心ではないでしょうか?

 一方、「財務」は過去ではなく未来の話です。どう調達して、どう投資して、どう回収するか? どうすればお金がショートせずに経営ができるか。会社のお金についていえば、この観点が一番重要です。先月の試算表を見ても、見えてこない世界です。

 この財務の世界は税理士の試験勉強では出てきません。特に国税OBは公務員だった人ですから、調達・投資・回収とはほど遠い人たちです。

 専門外の人たちにお金の相談をするから、会社の財務状況が悪くなるのです。

 特に損益計算書(P/L)ばかりを見て打ち合わせをしている税理士は要注意です。税理士は税金計算の専門家です。税金はP/Lに出てくる利益から計算します。

 「売上がいくらで、経費がいくらで、利益がいくらになるから税金がどれくらいになります」といったような打ち合わせですと、会社にとって一番重要な現預金の話になりません。

 現預金は貸借対照表(B/S)に出てきます。B/Sは税金計算には関係ありませんから、あまり説明されないことが多いです。しかし、財務はB/Sの世界なのです。

 B/Sには現預金残高・調達・投資・回収のすべての情報が入っていますから、きちんと現在を把握し、将来の計画を考えるベースとしなければいけません。

 もう一つ、P/Lにない概念が時間軸です。

 ある会社から「このままいくと資金がショートしそうなんですけど、どうしたらいいですか?」と相談を受けました。

 売上が順調に伸びていたのですが、売掛金の回収が月末締めの翌々月入金と2か月サイトなのに、仕入れの支払いは月末締めの翌月末払いと1か月サイトだったため、売上が伸びれば伸びるほど資金が苦しくなっていたのです。

 まずは回収のサイトの交渉をしてもらいました。1か月サイトにしたかったのですが、なんとか15日締めの翌月末入金と45日サイトまで持ち込みました。

 一方、支払いは翌々月払いにしたかったのですが、さすがに難しかったため、逆に仕入れをおさえ、在庫をなるべく持たないよう徹底的にコントロールしました。

 これでなんとか資金が回るようになりましたが、この情報はP/Lにはまったく載ってきません。

 なぜならサイトの変更によって売上は1円も増えてないし、経費は1円も減っていないからです。まったく同じP/Lになるのです。P/Lだけを見て経営していると順調に売上が上がっているいい会社に見えますが、時間ごとに区切るとヤバかったというよくある事例です。

 会社を潰したくなければ、B/Sと未来への時間軸を経営者自身がきちんと把握する必要があるのです。

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    大久保圭太

    Colorz Consulting株式会社代表取締役。Colorz国際税理士法人代表社員。
     税理士。早稲田大学卒業後、会計事務所を経て中央青山PwCコンサルティング株式会社(現みらいコンサルティング株式会社)に入社。中堅中小企業から上場企業まで幅広い企業に対する財務アドバイザリー業務・企業再生業務・M&A業務に従事。企業再生案件において、過去節税のために生命保険に加入した経営者が、業績悪化とともに借入等が返済できなくなり、生命保険金欲しさに自殺するのを間近にみて、自分の無力さに悩む。税理士の適切でないアドバイスにより会社の財務が毀損し、苦しんでいる経営者が多数いる現実を変えるには、税理士業界の意識を変える必要があることを痛感。
    2011年に独立し税理士法人ACS(現Colorz国際税理士法人)・株式会社ACS(現Colorz Consulting株式会社)を立ち上げ、成長企業に対する財務コンサルティングを中心に、累計1000社以上の財務戦略を立案している。


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