[東京 1日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>の中核信託銀行、三菱UFJ信託銀行(MU信託)の池谷幹男社長はロイターとのインタビューで、最大1兆円規模の買収を実現し、運用資産残高(AUM)を100兆円規模に増やす考えを表明した。

改めて資産運用・管理業務を中心とした信託関連ビジネスを中核業務に位置付け、経営資源を積極的に投入、拡大させる。

MU信託は来年4月をめどに、法人向け貸出をグループの三菱東京UFJ銀行に移管し、貸出業務の一体化を図る。移管する貸出金は約12兆円で地銀上位行の規模に匹敵。一方のMU信託は、現在の運用資産規模50―60兆円を倍増させ、手数料収入の拡大につなげる考えだ。グループ内での役割分担を明確にして総合力を高める。

インタビューの詳細は以下の通り。

――法人向け貸出業務を三菱東京UFJに移管する狙いは。

「法人貸出業務を全部、銀行にお願いして、信託銀行ではまったくやらないというイメージを持たれがちだが、そうではない。信託の法人営業部隊も合流し、銀行と一体で信託バンキングモデルを推進する。信託銀として手掛けてきた年金業務や、証券代行、不動産などの顧客に対するソリューションビジネスがこれまで以上に展開できるようになる」

「貸出中心主義からの脱却を目指す。もはや貸出を担当している人が1番偉いという時代ではない。グループ全体で進めていくということだ」

――信託銀行として何を目指すのか。

「信託自身はどのようなビジネスモデルを構築するのかが問われる。12兆円の貸出資産を移管するので、自己資本に余裕が生まれ、大胆な買収戦略が立てられる。この資本を活用して、資産運用・管理が柱になる信託銀行モデルを作り上げていく。運用対象はグローバルで、運用能力もグローバルで身に着けなければならない。国内の株や債券が得意です、などと言っても仕方がない。こういう観点で買収の意味合いが出てくる」

――どの程度の規模を目指すのか。

「最大で1兆円程度の買収を検討する。AUMは現在、50―60兆円程度だが、100兆円規模を目指す。グローバルな運用機関として世界の運用資産残高ランキングで現在は30位台だが、これを15位以内に引き上げたい。100兆円規模となると、顧客の規模などで相応の基盤ができ、きっちり顧客の支持を見込める」

――どのような機能を強化する考えか。

「今は、特にグローバルなアクティブ運用の機能が欠けていると考えている。クオンツ機能はある程度備わっている。1番身に着けたい能力はアクティブや、一部グローバルなオルタナティブ運用力だ。単純なインデックス運用は、欧米のビッグプレーヤーに席巻されており、これから参入するのは難しい。しかし、スマートベータ的な領域は、アクティブな運用機関でも力を入れようとしているのでその領域は課題だ」

――貸出は集約するとシェア調整が起きて、残高が減る可能性は。

「現実的には、一定程度顧客の判断で起こり得るだろう。一方で、両行を足し合わせたら残高でトップに立ち、そのまま主力行をやらせてほしいという考えもある。MUFGとして銀行、信託、証券の機能を全部含めた適切なソリューションの提供が目標になる。シェア調整で失う収益も回復できる」

――そのほかの信託ビジネスの強化は。

「証券代行業務は、企業のコーポレートガバナンスコードの対応支援などでお手伝いできることはたくさんある。また、不動産業務でもローン以外のエクイティや事業にジョインするなど領域を広げたいと考えている」

(このインタビューは、7月25日に実施しました)

(布施太郎、浦中大我)