「原爆投下も本土上陸も必要なかった」ハーバード白熱授業の学生に聞くアレック・デュークセン Alek Duerksen/1987年アイオワ州生まれ。2015年ハーバードビジネススクール入学。2017年MBA取得

2017年4月、ハーバードビジネススクールで「トルーマンと原爆」をテーマとした授業が行われた。この授業では、毎年60名の学生が80分間、「トルーマンの原爆投下はリーダーとして正しい決断だったか否か」について白熱した議論を戦わせる。授業に参加した学生は何を学んだのか。アメリカ人学生のアレック・デュークセンさんに聞いた。

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佐藤 今日の授業では「原爆投下を決断したトルーマンは人道的に正しかったか」について議論したと聞いています。授業を受けてトルーマンの決断に対する見方は変わりましたか。

デュークセン アメリカの高校の世界史の授業では「原爆を投下しなかったら日本は降伏せずに戦争を継続し、さらに多くの犠牲者が出ただろう」と教えられていて、それを当たり前のように信じていました。戦争に勝ったのはアメリカなのだから、原爆投下が正当化されるのは当然だろうとも思っていました。

 ところが、今日の授業でその考え方が変わりました。なぜなら、「原爆を使用しなくとも日本は早晩、降伏することが予想されていた」という事実を初めて知ったからです。

 授業では、正しい戦争にはルールがあることを学びましたが、唯一、ルールに従わなくてもよいとされているのが、「最高度緊急事態」です。私は日本への原爆投下は「最高度緊急事態」だったから実行された、と考えていました。しかしながら、この授業のために多くの資料を読んだり、クラスメートと議論したりする中で、本当にそうだったのか、と疑問に思うようになったのです。