Photo:小久保昭彦

 EV(電気自動車)普及は、はたして実現性が高いのか──世界的な燃費規制(CO2、二酸化炭素排出規制)の強化を背景に欧州の自動車メーカーが相次いでEV戦略を公表している。VW(フォルクスワーゲン)とダイムラーがすでにEVへのシフトを打ち出しているが、7月に入ってボルボ・カーズが「2019年以降に発売するすべての車種をEVまたはHEV(ハイブリッド・エレクトリック・ビークル=電動モーターを使う混合動力車)にする」と発表。フランスで誕生したマクロン政権は、2040年までにガソリン車とディーゼル車の国内での販売を禁止する方針を打ち出した。この急展開の理由は何か。

 VWとダイムラーの車両電動化は規制対応の意味が強い。欧州では近く、走行中のCO2排出量規制値が95g/km以下になる。販売モデルごとのCO2排出量表示に販売台数を掛け、メーカーのCO2排出総量を計算し、1台当たりの平均排出量が95g/kmよりも下かどうかを監視する、いわゆるCAFE(企業別平均燃費)規制だ。

 しかも、EUの排出ガス規制は現在のNEDC(ニュー・ヨーロピアン・ドライビング・サイクル)での計測ではなく、WLTC(ワールドハーモナイズド・ライトビークル・テスト・サイクル)という新しいモードで実施される。WLTCは最高速度130km/hまでという厳しいモードで、オーストリアのエンジニアリング会社、AVLは「エンジン排気量を削ってターボチャージャーで過給するダウンサイジングエンジンが不利になる」という試験結果を公表した。

 欧州でエンジンの小排気量化とターボ過給化をリードしてきたのは、VWとダイムラーなどドイツ勢である。電動化を宣言した背景のひとつは、この排出ガス規制の強化である。また、ドイツ勢だけで年間500万台を販売する中国市場で来年以降、自動車メーカーごとの販売台数に応じて新能源(新エネルギー)車の生産を義務づける法律が導入される、全販売台数の2~8%をEVまたはPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)にしなければならない。