なかでも温泉は、湯河原と熱海、箱根の自家源泉から毎日、タンクローリーで湯を運び、浴槽違いで三つの温泉を楽しめるという、全国に数多ある日帰り温泉の中でも非常にユニークな取り組みをする予定だ。これに伴い、箱根では源泉の追加取得も検討している。

 他にも、展望デッキに足湯を造って無料開放したり、マグロ解体ショーや全国各地の物産展を行えるイベント会場を用意したりとさまざまな構想を温めている。

築地と豊洲で
バッティングしてしまう

 にもかかわらず、小池方針下では、「築地の土地を民間と共に有効活用し、自立的な経営を目指す。場外と一体となって、世界の食の関連業者を集積」「築地ブランド力と地域の魅力を一体化させた食のワンダーランド」などと記されている(6月20日発表資料)。これでは確かに、豊洲の千客万来と「バッティングする」と捉えられても仕方あるまい。

「今の方針ではうちが施設を造っても、(築地と豊洲のどっちつかずで)テナントが入ってくれないだろう」(眞己専務)。万葉が小池知事に求めた詳細説明について、7月27日に都の担当者から回答があったものの「とうてい納得できる内容ではなかった」(同)。

 眞己専務は「本当に残念なのは、東京五輪には間に合いそうもないこと」と悔しさをにじませる。着工やテナント募集が後ろ倒しになったため、開業するにしても2020年夏に間に合うか危ういというのだ。

 一方で、このまま数ヵ月間、方針が変わらなければ、同社は事業撤退と都への損害賠償請求に踏み切らざるを得ないという。

 9月から都議会で定例会が始まる。築地・豊洲問題がどのように進展するのか、万葉は固唾を飲んで見守っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)