[カラカス 7日 ロイター] - 反米左翼マドゥロ政権への抗議行動が続くベネズエラは、武装グループが軍の基地を襲撃して武器を強奪する事件が発生し、クーデターの不安が頭をもたげ始めている。

大規模な抗議行動や国際的な批判にもかかわらず、新憲法制定のための制憲議会が先週発足。国民の間にはこれ以上は民主的な手段で政府に対抗するのは難しいとのムードが広がっている。

こうした雰囲気が後押しする形になったのか、6日には兵士や武装した市民によるグループがバレンシアの軍基地を襲い、武器を奪う事件が起きた。政府の発表によると2人が死亡し、当局が10人の行方を追っている。

このグループが事前に録画したビデオメッセージには軍服のようなそろいの服を着た十数人のメンバーが映っており、憲法による秩序の回復とマドゥロ大統領の退陣を要求した。

戦術行使をためらい、抗議行動を延期した野党指導者に対し、強硬派は裏切られたと感じ、不満を募らせている。

政治アナリストのルイス・ビセント・レオン氏によると、ベネズエラは武器の入手が容易で、政府の鎮圧行動によって活動家の過激勢力が地下に潜って軍隊化し、反乱軍となる恐れがある。「政府が急進化するにつれて、反政府勢力も拡大し、将来的に全面的な紛争に突入するかもしれない」と話す。

別のアナリストも、状況の悪化に歯止めが掛からなければ内戦に近い状態に陥る危険性があるとの見方を示した。

既に先月30日には制憲議会選の最中に爆発で警官7人が負傷する事件が起きている。

6日の軍基地襲撃を率いた元国家警備隊員は、軍指導者に反旗を翻して武器を取るよう同胞に呼びかけた。6月にヘリコプターで最高裁を襲撃した元警官は、逃走を続けながらも戦い続けると表明している。

道路封鎖に参加しているマリア・ロドリゲスさんは6日、「軍が蜂起するのを支持している。市民だけでは無理だ」と話した。

ただ、少なくとも表面的には、まだ軍事クーデターの脅威がすぐそこに迫っている状況ではない。マドゥロ大統領と軍幹部に亀裂が生じている兆しは見当たらず、軍は大統領への支持を表明し続けている。

4カ月におよぶ抗議行動で120人以上が死亡し、数千人が逮捕されたにもかかわらず制憲議会の成立を阻止できず、デモ参加者の多くは疲弊している。抗議行動自体がこの数週間で勢いを失いつつあり、早く職場に戻りたいと望んでいる人々もいる。

ベネズエラは経済が疲弊、商店に食品はなく、物価は高騰し、4年連続の景気後退に見舞われている。

(Alexandra Ulmer記者)