突然のガサ入れで
運営者として責任問われ逮捕

 そんなさじ加減を覚えながら、何とか担当地域の運営をうまく回せるようになった2015年初頭。ある日を境に、鬼頭氏の運命はいきなり暗転する。

「Xデー」の昼過ぎ、鬼頭氏は都内の自宅で過ごしていた。ふいにドアベルが鳴ったので覗き穴から見ると、数人の男たちが仁王立ちしているではないか。目線をそろりと下に向けると、鍵をかけそびれていた。今さら施錠すると音でバレてしまうから、居留守を決め込んだ方が得策かなどと迷ったのも束の間、突然扉が開かれると、男たちがなだれ込んできて鬼頭氏に詰め寄った。

 部屋に入ってきたのは警察官で、逮捕容疑は「売春防止法」違反。その日は本部トップの会長や鬼頭氏、さらに別のFCオーナーたちの元へ、警視庁の一斉捜査、いわゆるガサ入れが入ったのだ。

 何でも、そのチェーンで働いていたある女性が、鬼頭氏の店で接客した際、デリヘルで禁じられているはずの“本番行為”に及んだことが発覚したらしい。捜査員が、事を終えた大学生の客に詰問したところ、「一線を超えた」ことを認めたのだという。

 実は、新宿や五反田など山手線の主要駅に展開し、鬼頭氏とは別の地域を担当していたFCグループの運営者らが「明らかに女性に指示して本番をやらせていた」ことは、ある時期から鬼頭氏の耳にも入っていた。全国30店超を展開する激安デリヘルチェーンの中で、最も多くの店舗を運営していた彼らは、通称「五反田グループ」と呼ばれ、一時期は業界内で「日本一電話が鳴る」と言われるほど人気の絶頂にあった。

 そんな五反田グループ運営のFC店のホームページには、基本プレイのほかに「オプションプレイ」との表記があり、そこに本番を示唆するような表現がなされていたという。ネット上の掲示板でも本番に関する書き込みが相次ぐなど、本番を“餌”に客寄せしていると取られかねない状況だった。

 いつしか、そうした情報を得た警察から五反田グループは目をつけられ、マークされていた。鬼頭氏が担当する数店舗では、「私から本番行為を女性にそそのかしたことなど一切なかった」と言うが、大元は同じ激安デリヘルチェーンのため、気づかぬ間に鬼頭氏にも警察から疑いがかけられていた。

 店舗型のヘルスなどでは、スタッフたちが同じ建物内にいるため本番行為はやりにくく、「店舗型でそういう事件が起きることはめったにない」。一方、運営者の目の届かない場所へ派遣されるデリヘルの場合は、密室で二人きりになるわけで、心理的にも「やりやすい」面があるという。実際のところ、指名を獲得するために、本番行為に及んでしまうデリヘル嬢は少なくないという。