ワールドカップのように、欧米系、日系、韓国系、中国ローカル系などが、しのぎを削って戦いを繰り広げている中国市場。そんな中で、陣取り合戦のフェーズが終わり、勝ち組が見えてきた業界もある。

中国ネット書籍販売で台頭する「快書包」の仰天戦略<br />大手の寡占市場でも“中国流の工夫”で勝ち上がれる!グローバルトップ企業の「亜馬遜」(Amazon)と、中国ローカルである「当当網」の2強が君臨する中国のネット書籍販売市場で、にわかに注目され始めた「快書包」とは、どんなサービスか?

 毎年40%以上の成長を続け、2012年に市場規模が100億元に到達すると言われている中国のネット書籍販売市場も、その1つ。グローバルトップ企業の「亜馬遜」(Amazon)と、中国ローカルである「当当網」の2強が君臨する状況になりつつある。

 そんななか、「1時間以内で本を配達」というスピードを武器に、大手2社に果敢に勝負を挑んでいるチャレンジャーがいる。中国ネット書籍販売業界のコンビニエンスストアを目指す「快書包」だ。2012年に売り上げ1億元(市場シェア1%)を目指す快書包は、どのように巨人たちと戦おうとしているのだろうか。

大手に対抗するために強みを絞り込め!
注文した本を1時間以内に届ける「快書包」

 もともとリアル書店を経営していた徐智明が2010年10月に起業したオンライン書店「快書包」は、北京、上海、西安、成都、天津、長沙、杭州の7都市で事業を展開している((2011年8月20日現在、今年末までに12都市へと事業を拡大する予定)。創業後1年も経たずにここまで事業を拡大するスピード感は、中国ならではだろう。

 これは中国に限った話ではないが、スタートアップ企業が規模で圧倒的に優位に立つ大手プレイヤーと勝負する場合には、自社の強み1点に絞り込み、その強みが効くニッチなマーケットにフォーカスする必要がある。快書包のケースでは、「1時間以内に届ける」というスピードが訴求ポイントになっている(しかも注文金額によらずに配送料は無料)。

 上海などの大都市であれば、卓越亜馬遜(Amazon)、当当網も1~2日で配送する。大手2社と配送スピードで差別化するためには、3時間などの中途半端な早さではなく「1時間」という圧倒的なスピードにこだわる必要があるのだろう。