ユニクロが米国で自販機展開、地域性を意識しなければ自滅するユニクロも他の日系流通会社と同様に、米国では苦戦している。写真は米国・ニューヨーク5番街店 Photo:FAST RETAILING

「ユニクロ」が米国で自動販売機の設置を始めた。米国内の空港やショッピングモールなど約10ヵ所に設置し、ユニクロ製の衣料品を販売していく計画だ。ユニクロはアジア、とくに中国本土をはじめとした中華圏では順調に事業を拡大、そろそろ国内と海外の売上高が逆転しそうな勢いだが、こと米国では苦戦している。柳井正会長兼社長が掲げる2020年に3兆円、その先の5兆円という、真のグローバルプレイヤーの地位を築くためには米国や欧州での成功は不可欠。自販機の設置は米国戦略巻き返しの呼び水になるか――。(流通ジャーナリスト 森山真二)

空港やショッピングモールで
自販機を設置

 ユニクロの自動販売機は約14.90ドルの機能性肌着である「ヒートテック」、また約69.90ドルの「ウルトラダウンジャケット」が売られている。両商品ともに日本国内だけでなく、東南アジアでもヒットした商品。

 ウルトラライトダウンは箱に入って、商品が見える窓が開いている。ヒートテックは円筒状の缶に入っている。ユニクロらしさというか、商品の機能性が最もよく打ち出されている商品であり、これから秋冬に備えた商品展開といえる。

 ユニクロでは8月からロサンゼルス近郊のショッピングセンターやニューヨーク州クイーンズのショッピングモール、さらにテキサス州のヒューストン空港など全米10ヵ所程度に設置するという計画だ。

 広大な米国で気候の違いを感じる空港内では重宝しそうだし、ユニクロ店舗がないショッピングモールでは「何コレ?」と興味を惹かれる商品だと思うが、ネット上では自販機で衣料品を販売して「売れるのか」とか、「失敗するだろうな」などと悪評ふんぷんである。

 ではなぜ、ユニクロがあえてこんな評判の悪い自動販売機の設置に踏み切ったのだろうか。