モレスキンノートを使い始める他の例としては、

③ 最初のページに座右の銘や格言を記す

 という方法もおすすめです。1冊がポケットサイズで192ページ、ラージサイズで240ページもあるモレスキンノートは、短い人でも3ヶ月、長い人になると1年以上かけて使うという人も珍しくありません。自分が大切にしている言葉や詩、書籍から抜き出した一文などは、長く使用するモレスキンノートの最初のページを飾るのにふさわしいでしょう。

 例えば、第1回でも紹介した、モレスキンノートを本の抜き書きに使用しているsazanamiさん(@sazanami_jp)は、モレスキンノートの最初のページに次の言葉を記しています。

「何年かたつと、別なノートにまた、おなじようなことを書く。ここには蓄積がない。わずかな思いつきの変奏があるばかりだ。本からとった他人のことばも、姿を変え、意味を変えて別なものになっていく」(高橋悠治『カフカ/夜の時間』より)

 この言葉がモレスキンノートの冒頭で述べられることで、sazanamiさんの人生において、「本の抜き書き」という作業が深い意義を持つことになるのです。

④ したいことをTo Doリストにして書いておく

 これは、「目標」とは異なり、できるかできないかわからなくても、ここ数年の間にやっておきたいと思っていることを思いつく限り書いておく、というものです。行きたい場所、会っておきたい人、始めたいこと、成し遂げたいことなどを□をつけて列挙しておき、達成された時にチェックを入れます。

 この方法を使えば、そのモレスキンノートを使っている期間は、自分がしたいことをいつも意識することができますし、1冊を使い終えた時には、どれだけのことを実現させられたか一目瞭然となります。モレスキンノート1冊分の時間の充実度を可視化することができるのです。

日常生活こそノートの最高の題材!

 では、モレスキンノートに毎日、何を書いていきましょう? 同じ道を通って、同じ電車に乗り、同じ生活圏内の往復をくり返しているだけなのに、ノートに記録する価値のある新しい発見をすることなどできるのだろうか、と疑わしく思う人もいるのではないでしょうか?

 街をスケッチする人々の世界コミュニティー「Urban Sketchers」 の代表であるGabriel Campanarioさんは次のように述べます。

「長い間同じ街に住んでいると、面白い風景でも目に入らなくなる」

 どんなにエキサイティングな街に住んで変化に富む仕事をしている人であっても、それが一度日常となると、ノートに書かれるべき出来事も捉えることができなくなってしまうというわけです。

 そこで、私たちはノートに日常で起きた些細なことでも記録するよう薦めています。自分が考えたこと、感じたこと、見聞きしたものを書き出したり貼り付けていくのです。そうして1冊を終える頃、読み返してみると「自分がこの世界からなにをこし取っているか」ということが客観的に見えてくるのです。

「昨日描いた絵、今書いた文章、明日貼る写真。モレスキンノートはバラバラだったモノやコトを連続してまとめて見せてくれる」

 モレスキンユーザーのマスオトモアキさん(@msotmak)のこの言葉が、日常的にモレスキンノートを使う意味を見事に言い当てているように思います。モレスキンノートを書き続ける中で、なんでもないと思っていた日常が「なんでもない、わけではなかった!」ということに気付けばしめたものです。ノートに書くことを次第に多く見つけることができるようになるでしょう。

【第2回】<br />「モレスキンと日常」<br />「伝説のノート」にあなたの記録を始める
中牟田 洋子(なかむた・ようこ)
1982年福岡県生まれ。モレスキンにまつわる記事を毎日更新している日本一のモレスキンファンサイト「moleskinerie.jp」[モレスキナリー]の管理人。世界中のモレスキンユーザーのページの紹介、カスタマイズ方法、情報の活用方法、モレスキンに合う文房具、“手書き”や“記録”にまつわる文化記事まで幅広く掲載している。ロンドン在住。
moleskinerie.jp[モレスキナリー] http://www.moleskinerie.jp

 

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【連載の予定】
第1回:「人生を入れる、「モレスキンノート」の魅力とは?」
第3回:「モレスキンと旅~モレスキンノートは旅人によく似合う」(9/14)
第4回:「モレスキンと個性~パーソナリティであるノートブック」(9/15)
第5回:「モレスキンとアート~日常の中でのクリエイティブ・アクション」(9/21)
第6回:「人生を最高に旅するためのノート、モレスキン」(9/22)

本の内容を動画でご紹介しています。ぜひご覧になってください】