単なる「ホウレンソウ」社員が時代遅れになる理由

常識的な社会人のふるまいとして、ホウレンソウ(報告、連絡、相談)の励行が言われて長い年月が経つ。もちろん、ホウレンソウはチームで仕事を進めていく場合で円滑な業務遂行に必要な基本的ルールだが、最近はあまりにホウレンソウに依存する人間がスピーディーな業務完了を妨げるケースも増えている。こうした「勘違いホウレンソウ人間」とはどのようなタイプの人間で、なぜ彼らが会社をダメにするのか解説しよう。(アクセンチュア マネジング・ディレクター 中野豊明)

実はグローバルの方が
活発なホウレンソウ

 私がまだ学生だった頃、サラリーマンの父から「社会に出たらホウレンソウが重要だ」と何度も言われ、しまいにはかなり辟易しながら父の話を聞いていた記憶がある。時を経て、私はアクセンチュアに入社し、チームワークを必要とするプロジェクトを進めるにあたり、自然とホウレンソウの重要性を知るようになる。日本人同士で仕事を進める際にはもちろんのこと、グローバルのメンバーとのプロジェクトでは、とりわけホウレンソウが重要だ。

 意外かもしれないが、むしろグローバルメンバーの方がホウレンソウの頻度が高い。もちろんホウレンソウという言葉は使わないが、コミュニケーション、アップデート、キャッチアップ、フライバイ、パルス(コール)などなど、ホウレンソウに類する表現が山のようにある。

 会社によってそれぞれ言い方やニュアンスが異なるのだろうが、アクセンチュアの場合、アップデートはマネジメントに対するオフィシャルな状況報告のことである。キャッチアップは、マネジメント同士が近況をカジュアルに共有する際に用いられることが多い。フライバイは通常は承認申請を行うオフィシャルな会議に承認事項なしで状況を報告する際に用いる用語で、直訳では寄り添って飛ぶ(ランデブー飛行をする)という意味だ。パルスは、チームメンバー同士がカジュアルに状況共有する際に用いられ、互いに共振し合うという意図なのだろうから、ちょっとかわいらしい感じがする。