かつては国内で圧倒的な存在感を持っていた東京海上ホールディングス。しかし業界再編が進み、経常収益ベースで首位の座から転落するなど優位性は色あせている。国内損保の雄はどこへ向かうのか。隅修三社長に聞く。(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)

東京海上ホールディングス<br />隅 修三社長インタビュー<br />次期中計でもROE6%目指す<br />自動車はなんとしても回復させるPhoto by Toshiaki Usami

──中期経営計画の目標だったROE6%は未達成に終わりそうだ。

 計画立案時では予想していなかった、リーマンショックと東日本大震災が発生し、さらに日本の経済成長が予想よりも低く推移しているのが外的要因。ただそれがなかったとしても中計の達成は難しいだろう。

──来年度からの次期中計の考え方は。

 現在策定中だ。一般的に日本での資本コストは7%であることから、やはりROEは6~7%程度を目指していく方針に変わりはないだろう。特に自動車保険の収益率改善は重要。コンバインドレシオは現在の103.8%から中長期的には95~98%を目指していきたい。すぐには無理だが、なんとしても回復させたい。

──経常収益などではトップの座から転落した。悔しくないか。

 社員の中からは「悔しい」という声も聞こえる。われわれの使命はあくまでボトムライン(当期利益)を上げていくこと。ボトムを上げるためにはトップライン(経常収益)の増収も必要であり、トップラインでもこのまま負けている気はない。だが、儲からないかたちで無理にトップを上げる気持ちはない。