日本の大手電機メーカーの半導体部門が統合してできたルネサスエレクトロニクスが壮絶なリストラを経てよみがえろうとしている。成長軌道に乗るには、日系自動車メーカー依存からの脱却が必要だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

 ルネサスエレクトロニクスが我慢の時を経て攻勢に転じてきた。

 同社は日立製作所と三菱電機の半導体統合会社が2010年にNECエレクトロニクスと統合して発足した。社員を待ち受けていたのはリストラの嵐。従業員数は一時、初年度の4割まで減少。工場の譲渡も相次いだ(図(1))。

 11年の東日本大震災が追い打ちとなった。主力工場の被災による生産停止という直接的な損害だけでなく、自動車の頭脳に当たる「車載用マイコン」のシェアを奪われるという想定外の副作用まで起きた。後者は、日系自動車メーカーがマイコンをルネサスに依存し過ぎていたことに危機感を抱き、調達先を分散したために生じた。

 こうした二重三重の苦境を乗り切り、ルネサスが黒字に転換したのは15年3月期だった(図(2))。

 同社幹部は17年12月期を「成長軌道にシフトする年」と位置付けている。それができるかどうかは、車載用半導体で世界シェア首位のNXPセミコンダクターズとの戦いの結果次第ということになる。

 ルネサス幹部は「車載用マイコンの世界シェアは現状30%だが、東日本大震災前の40%まで巻き返す」と鼻息が荒い。