Galaxy Note8

 2017年秋のフラグシップモデルとなるGalaxy Note8がサムスンから発表になった。初代「GALAXY Note」が登場してから6年、最新のNote8はどのように進化したのだろうか?

 今年登場した「Galaxy S8/S8+」や、昨年発売中止となったGalaxy Note 7をリフレッシュしたGalaxy Note Fun Edition(FE)と比較しつつ、Galaxy Note8の魅力を探ってみた。

Galaxy Note8のユーザーターゲットはクリエイティブなユーザー
Galaxy S8+との比較

 Galaxy Note8のディスプレーのアスペクト比は2017年のフラグシップモデルであるGalaxy S8/S8+と同じ18.5対9。本体の形状を見るとかなり縦長に感じられる。

 しかし、横幅は74.8mmと、片手でも十分保持できるサイズであり、実際に手に持ってみると数字ほどの大きさは感じられない。

Galaxy Note8
6.3型ディスプレーの大型モデルながらも片手で十分持てるGalaxy Note8

 Galaxy Note8のディスプレーサイズは6.3型で、Galaxy S8+の6.2型よりわずかに0.1インチだけサイズアップしている。

 だが、本体の形状を比べるとS8/S8+は角のRが大きく、全体的に曲面で構成されているのに対し、Galaxy Note8はよりスクエアな形状になっている。そのためNote8のディスプレー面積はGalaxy S8+より数値以上に大きくなっている印象を受ける。

Galaxy Note8
Galaxy S8+(左)とGalaxy Note8(右)。角やエッジの処理が大きく異なる

 本体を側面から見てみると、S8/S8+は上下対称にゆるやかなカーブを描いている。これは手の平にしっかりとフィットしやすい形状と言えるが、その分、ディスプレー両端のエッジ部分がやや目立つように感じる。

 一方、Note8は角のRがきつくなり、ベゼル部分の幅はより狭くなっている。つまり、Note8はディスプレーの全体を表示&手書きエリアにしようとしているわけだ。

Galaxy Note8
Galaxy S8+(下)は本体の断面が上下対称でRはゆるやか。Galaxy Note8(上)は本体表面側のRがきつく、ディスプレー表示面をより広くしている
Galaxy Note8
ややわかりにくいが、Galaxy Note8(上)はディスプレーの角はすぐに曲げられ側面へ接合、Galaxy S8+(下)はディスプレーの端はゆるやかに側面へとカーブして接合されている

 本体形状の変更やディスプレーザイズの(わずかだが)大型化は、Galaxy Note8が付属のスタイラスペン=Sペンを使うことを考えた製品だからである。

 Galaxy S8+との見かけ上の差は「0.1インチのディスプレーサイズ」に思えるが、Galaxy Note8はSペンを使うユーザーを考えた、まったく別の製品に仕上がっているのである。

 Sペンを使わず指先操作をするならば、エッジ部分がゆるやかなカーブのGalaxy S8/S8+のほうが手に持ちやすいだろう。

 しかし、紙の手帳のように片手で本体をもち、Sペンを使って細かい書き込むのであれば、フロント面すべてがディスプレーになっているほうが使いやすい。両者のデザイン差はユーザーの端末の使い方の差がそのまま表れているのである。

Galaxy Note8
Galaxy Note8の活用にSペンは切り離すことはできない

Noteシリーズとして最高傑作のGalaxy Note8
Galaxy Note FEとの比較

 Galaxy Note8の公式な前モデルは2015年登場の「Galaxy Note5」となる。しかし、サムスンは2016年に「Galaxy Note7」を発売し、その後販売中止となり、2017年に入り韓国でバッテリーを交換したモデルとして「Galaxy Note Fun Edition」を販売している。

 Galaxy Note7の機能をそのまま引き継いだGalaxy Note FEは、過去のGalaxy Noteシリーズの中でも最大の進化を遂げた製品だ。しかし、Galaxy Note8と比較してみると、Galaxy Note8はより「紙のノート」に近づいた製品だと感じられる。

 Note FEのディスプレーは16対9のアスペクト比で5.7型。横幅は73.9mmで、Note8よりも0.6mm狭い。また、縦方向のサイズは153.5mm。Note8は162.5mmで、9mmほど縦長だ。

 数字だけ見ればNote FEのほうが小型で持ちやすい、そう思えるだろう。ところが、Note FEはディスプレー上下に非表示部分が幅広くあるため、ディスプレー上でSペンが使えないエリアが多くある。左右のベゼル幅もNote8より広い。

Galaxy Note8
Note FE(左)とNote8(右)。本体の差の違いよりも、ディスプレーサイズの差が目立つ

 そのため、Sペンを右手に持ち、左手に本体を持って両者を比べてみると、Note8は「紙そのもの」で書きたいところに自由に書き込めるのに対し、Note FEでは上下左右に書けないエリアが多い。Sペンをディスプレー上で走らせると書き込み可能エリアの狭さによる制約を感じてしまう。つまり、どことなく窮屈さを感じるのだ。

Galaxy Note8
本体の断面形状は、Note FE(上)とNote8(下)を比べると、S8+ほどの差はない。また、横幅の0.6mmの差はあまり感じられないところだ
Galaxy Note8
Note8の上にNote FEを乗せると、縦方向の長さの差がかなりあることがわかる

 実は、Note8とNote FEのSペンの機能はほとんど変わっていない。ペン先は7mm径、圧力感度は4096段階で、ペン本体の形状もほぼ同じだ。

 しかし、本体側の書き込みができるエリアの面積の差が、ペンを使う際の自由度に大きな影響を与えるのである。一度、Note8でメモを書いてからNote FEを使ってみると、Note8は紙の手帳のような書き心地が感じられるのに対し、Note FEは画面の大きさを気にしながら手書きしなくてはならない。

Galaxy Note8
Note FE(左)とNote8(右)のSペンの差。形状はほぼ変わらないようだ

 Galaxy Noteは大きな画面とSペンにより、クリエイティブなツールを目指した製品である。しかし、Note FEまでの進化はハードウェアの進化にすぎなかった。

 Note8はスマートフォンという製品の枠を越え、紙の手帳の書き心地にデジタルツールならではの利便性を加えた「文房具」といえる製品に大きく進化したと言えそうだ。

IT製品から文房具になったGalaxy Note8

 Note8の日本発売は未定である。しかし、現在Galaxy S8/S8+を使っている人や、購入を検討している人にとって、Galaxy Note8はとても気になる製品に見えるだろう。

 Note8と8/S8+の基本スペックに大きな差はない。しかし、どちらの製品を選べばよいのか、その回答は明快だ。Sペンの機能に魅力を感じるのであれば、Galaxy Note8の日本発売に期待を寄せるべきだろう。

 とはいえ「ペンは使わなくてよい」と考えている人も、進化したSペンの機能を知れば、Note8が欲しくなるに違いない。

 Sペンはただのデジタイザーペンではなく、Note8のハードウェア・ソフトウェアと融合された機能を多く持つ。ほかのスマートフォンではできない機能を多数持っているのだ。

 中でも、使い勝手が高い機能が「スクリーンオフメモ」だ。Note8をポケットから取り出し、Sペンを抜くとそれだけでディスプレー上にメモを書くことができるのだ。

 いちいちメモアプリを起動する必要もないし、ペンで画面をタップする必要もない。「胸ポケットから紙の手帳を取り出し、ペンでメモを書く」と同じ感覚でメモ書きができるのである。

 しかも、1画面にメモが収まらない場合でも、画面下にメモをスクロールさせ次のページに書き込める。メモは100ページ(100画面)ぶん書けるので、実質的にほぼ無制限に書けるような感覚だ。

 急に思いついたアイデアや買い物リスト、あるいはブログに書く文章、そしてスケッチなど、一般的なスマートフォンでは即座に記録できない内容も、Note8ならカンタンに残すことができるのだ。

Galaxy Note8
スクリーンオフメモはSペンを抜くだけでNote8のディスプレーをメモ帳にできる

 Sペンを使った特徴的な機能はもうひとつある。Sペンを抜くか、ディスプレー上でSペンのボタンをダブルクリックすると起動する「エアコマンド」だ。

 エアコマンドはアイコンから起動できるSペンを使ったミニアプリのようなもの。Galaxy Note5からいくつかのアプリが利用できたが、Note8では専用アプリが10種類に増えている。

 ディスプレー上にSペンをかざすとその部分が拡大表示できる「Magnify」や、かざした文字を翻訳してくれる「Translate」はビジネスのみならず日常シーンでも役立つだろう。

 TranslateはNote7/FEで実装されていたが、Note8では「文章」「通貨変換」にも対応した。たとえば、海外通販サイトを見ている時に、製品の英語の説明やドル表示の価格の上にSペンをかざせば、文章の翻訳や日本円表示をポップアップ表示じてくれるのである。

Galaxy Note8
文章もSペンをかざすと翻訳してくれる

 また、画面を自在にキャプチャーできる「SmartSelect」機能は、動画の切り出しにも対応している。切り出した後に保存されるのは「GIFアニメーション」であり、音声は入らない。

 しかし、動画サイトで見つけたおもしろい動画をシェアしたいときに、URLを送っても忙しい相手は見てくれないだろう。だが、10秒程度のGIFアニメならタイムライン上で自動再生してくれるのですぐに反応が期待できる。Sペンを使うので動画の切り取り範囲も細かく調整可能なのだ。

 そして、Note8ならではの機能が「Live Message」である。Sペンの手書き機能を拡張したもので、手書きした絵や文字を書いた通りにGIFアニメとして保存し、チャットやメッセージで共有できるのだ。

 写真の上にアニメーション的に文字などを書き入れて送ることもできる。味わいのある手書きの文字に動きを加えたもので、相手にメッセージを送るときについつい使いたくなる機能と言えるだろう。

 ペン先や色ももちろん変えられるので、将来は「Live Message職人」のような人が作ったGIFアニメの字やイラストが、スタンプのように他の人と共有・交換される、といったブームも起きるかもしれない。

Galaxy Note8
発表会でもエアコマンド機能は大きく紹介された

 指でできた操作のほとんどをSペンでも実行できるため、2つのアプリ画面を表示するマルチウィンドウのサイズ変更なども楽にこなすことができる。

 市販されているスマートフォンのスタイラスペンよりも細かい操作が可能なうえに、ペンの感度も高く、Note8は指先操作だけに頼っていた人をペン操作の世界へ引き込んでしまうほどだ。

 しかし、そこまで細かい操作などを必要としない人にとっては、逆にSペンのメリットは少ないだろう。Note8は「万人のためのスマートフォン」というよりも、Sペンを中心とした「クリエイティブツール」なのだ。

 日本で最後に販売されたNoteシリーズは「GALAXY Note Edge」だったが、日本向けOSの出来具合やペンの感度など、必ずしも満足のいく製品ではなかった。

 それから3年経った2017年に登場するNote8は、まったく別のペンデバイスと言えるほど完成度の高い製品に生まれ変わった。日本のユーザーにも高い満足度を与えることのできる製品と感じられただけに、日本市場へぜひ投入してほしいものだ。