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米国内政治の不透明感は
一段と高まった

 トランプ大統領は、バージニア州シャーロッツビルにおける白人至上主義団体と反対派の衝突について、「反対派にも責任がある」との見解を示した。その発言を受けて、政権内部をはじめ、さまざまな分野からの反発が出ている。

 元々、米国は“人種のるつぼ”と言われ、多民族が共存する国家だ。その社会環境を考えると、人種差別は一種のタブーと言ってもよいだろう。今回、トランプ大統領は、そうした米国社会が持つ微妙な部分に抵触したともいえる。

 それでなくてもトランプ大統領は、ロシアとの癒着疑惑や共和党との関係悪化などの問題を抱えている。米国内政治の先行きに関する不透明感は一段と高まったといえる。賭け屋のオッズ(掛け率)によると、2018年末までトランプ氏が大統領職に居続ける確率は60%程度まで低下しているという。

 大手ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオ氏などの市場関係者からも、米国社会の亀裂が深まり政治は一段と混乱しやすくなったとの見方が示されている。ここへ来て、トランプ大統領を巡る風向きが微妙に変化しているのかもしれない。

トランプ政権への
求心力低下につながる恐れ

 米国の社会は多様な価値観を受け入れ、人々のアメリカンドリームを追い求めるアニマルスピリットを掻き立てることで成長を遂げてきた。

 その意味では、多様性は米国社会のエネルギーの源泉の一つと言えるだろう。ITをはじめ、企業の経営者の顔ぶれを見てもその属性はさまざまだ。それゆえ、もともと米国では政治家などが差別を容認する姿勢を示すことは、社会的な禁忌(タブー)とされてきた。