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アマデウスたち

福田健二
ゴールへの執念一つで世界を渡る

週刊ダイヤモンド編集部
【第44回】 2008年9月5日
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福田健二
写真 加藤昌人

 「好きなサッカーで 世界に胸を張れる 選手になって下さい」。たった3行を残して、母は自死した。小学校5年生の春のことだった。それから20年。最後の言葉に凝縮された母の思いのすべてをくみ取ろうとするように生きてきた。

 プロデビューは鮮烈だった。名古屋グランパスに入団、ゼロックススーパー杯にフォワードとして起用された高卒ルーキーは、いきなりゴールを決めてみせた。3年目には16ゴールをたたき出す。闘争心をむき出しにし、ぎらぎらした野心を隠さなかった。そこには、海外の一流プレーヤーという究極の目標との距離を気にするあまりの、不器用な焦りも滲んでいた。2000年から低迷、2003年はついに1点も奪えなかった。いつの間にか26歳になっていた。

 ラストチャンスと覚悟を決め、海を渡った。パラグアイ、メキシコを経て2005年にサッカー王国スペインへ。日本の外側には「人生のすべてを賭けたギリギリの戦いがあった」。途中参加となった1シーズンを除き、すべて2ケタたゴールをたたき出し、2007年にはMVPとして地元に讃えられた。それから一部リーグ昇格を狙うUDラス・パルマスに加わった。海外で活躍する多くの日本人選手のように、バックにスポンサーはいない。実力だけではい上がる。

 シーズン中もオフも、目覚めから眠りに就くまで、ゴールへの執念を反芻する。心はむしろ静やかだ。愛する妻と2人の娘が、ずっとそばにいる。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)

福田健二(Kenji Fukuda)●プロサッカー選手。1977年生まれ。1996年名古屋グランパス入団。天皇杯などのタイトル獲得。1997年日本代表としてワールドユースベスト8。2000年シドニー五輪最終予選出場。FC東京、ベガルタ仙台を経て、2004年からパラグアイ、メキシコ、スペインのクラブチームへ。現在はUDラス・パルマスに所属。

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