[ウェリントン 30日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)ドル高抑制に向けた中銀の介入観測を背景に、NZドルは今月下落基調を強めており、月間の下落率は、2016年1月以来の大きさとなる見通し。ただ、アナリストは、近いうちに中銀が介入に動く可能性は低いとみている。

NZ準備銀行(中央銀行)のウィーラー総裁は今月10日の政策会合で、「NZドル安が望ましい」と述べたほか、中銀には介入能力がある」とし、NZドル高をけん制した。また、その後の一部メディアとのインタビューで、中銀が介入に一歩近づいたとの見方が広がった。

一方、マクダーモット総裁補はロイターとのインタビューで、ウィーラー総裁の発言は中銀が介入に若干近づいたことを示唆しているかとの質問に対して「それは違う。介入を計画しているのであれば、記者会見でそれが示唆されるだろうし、声明にも盛り込まれる可能性がある」と語った。

NZ中銀は歴史的に見て、為替市場への介入には非常に消極的。それにも関わらず、介入観測でNZドルは7月下旬以降下落し、約2カ月ぶり安値をつけた。

一方、アナリストは、早期の介入観測を否定する。中銀にとり、NZドル相場が「極度に高い」、もしくは「経済ファンダメンタルズで正当化されない」ことが介入の主な基準。OMフィナンシャルのプライベート・クライアント・マネジャー、スチュワート・イブ氏は、こうした基準を踏まえると、近いうちに中銀が介入に動く可能性は低いと語る。

NZドルの今月の下落率は3.4%になる見通しで、月間の下落率としては2016年初めに記録した5.2%以来の大きさとなる。ただ、年初からは5%近く上昇している。

最近の軟調な経済指標を受け、投資家はNZドルの買い持ちを解消した。また、中銀が8月の政策会合で中立的なスタンスを示し、利上げ観測が後退したこともNZドルを圧迫している。

労働党の党首交代により激戦が見込まれる9月総選挙を前に、NZドルには一段の下押し圧力が予想される。

第1・四半期の成長率と第2・四半期のインフレ率は失望を誘う数字となったが、それでも今年のNZ経済は、先進国の中でも特に底堅くなり、交易条件も引き続き堅調になる見通し。

第1・四半期の交易条件は40年ぶり高水準を記録した。31日に発表される第2・四半期の交易条件も同様に高水準が予想されている。

コモンウェルス銀行(CBA)のストラテジスト、ジョセフ・カプルソ氏は「NZドルが過大評価されているか過小評価されているかをみるとき、中銀は交易条件に注目している」と説明。「交易条件がNZドル相場を動かす最大の要因だとすれば、そして、交易条件がこれまでにもないほどの高水準なら、NZドルが過大評価されていると結論付けるのは難しい」と説明した。

貿易加重平均ベースでNZドルは今週、3カ月ぶり低水準となる 75.59近辺となった。これは、7月の5カ月半ぶり高水準(79.26)や、2月に記録した2年ぶり高水準(80.13)を大幅に下回っている。これらを踏まえると、中銀が近いうちに介入に動く可能性は低いとアナリストは考えている。