アメリカの多くの学校は8月28日月曜日が新学期。普段は夕方に酷くなる通勤ラッシュの渋滞がほとんどなかったのは、新学期に合わせて学校で父兄が集まるイベントなどが行なわれていたからかもしれません。

 日本の小中学校ではカレンダーの日付重視という印象が強いので、9月1日が新学期かなと思っていたのですが、週単位で区切るんですね。そう言われてみれば、こちらでは祝日なども割と曜日で決まっているパターンが多いです。

 そんな新学期シーズン、筆者も夏休みを終えました。例年はバタバタしていてあまりまとまった休暇を取らないのですが、今年は10日ほど、ラスベガスうあソノマバレーへと、ゆっくり羽を伸ばす時間を作りことができました。

 ソノマバレーは、正確にはグレンエレン村というところでAirbnbで見つけた貸別荘に滞在したのですが、ナパ、ソノマの2つのワインどころに10分程度でアクセスできる、非常に良い立地の場所でした。ソノマはナパほど商業化されていないものの、古くからあるブドウ畑もたくさんあり、楽しみがいがありました。

 バークレーは気温が上がっても25度程度で、朝晩は霧がかかって15度以下になるのですが、ナパ、ソノマは内陸で気温が上がり、38度という暑さ。しかし夜になると20度近く気温が下がり、この寒暖の差がワイン造りにはぴったりというわけです。

 さらに気温が高かったのがラスベガスです。40度を超える気温はやはり体にこたえますし、結局で歩かずにホテルの中にいると、強い冷房で体が冷える。暑さ寒さが極端過ぎて、体もびっくりしてしまったかもしれません。

ルート66を通りつつ、グランドキャニオンを目指す

 ラスベガスでは、ホテル滞在ももちろんですが、ここから車で4時間半ほど東にある壮大な地形、グランドキャニオンを目指しました。その途中、かつての米国の東西交通を支えたルート66を通りました。

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ルート66はシカゴとカリフォルニアを結ぶ古い国道で、映画などでもしばしば登場します

 中学の頃、アメリカの州間高速道路に興味を持って少し文献を読んだときに、主役から退いたかつての道路があったことを知り、その中にルート66もありました。それでちょっと憧れがあった、というわけです。

 アメリカの現在の高速道路網は基本的に無料で、片側2車線以上の高規格道路が縦横無尽に張り巡らされています。主要都市を通るように直線的に引かれた道路は、ちょっとした地形なら切り崩してまっすぐと引かれています。ネバダ州とアリゾナ州の付近の40号線も同じで、波打つ地形を切り通しのように高低差を打ち消しながら、まっすぐ進んでいきます。

 一方、その40号線と並行して走るルート66は、波打つ地形を迂回するように、丘沿いの比較的平坦なところに沿って進んでいきます。40号線と離れたところにある古びた街を縫いながらのドライブは、所要時間が少し余計にかかっても、大きな楽しみを与えてくれました。

 といっても、ルート66だって時速65マイル、つまり時速にすると約100km制限の道路で、決して速度が遅いというわけではありません。しかも工事だらけの40号線に比べたら、所要時間だってむしろちょっと早かったかもしれません。行きと同様、帰りもルート66を使えば良かったと後悔しています。

アメリカのどデカいSUVにおける充実の装備とは

 「若者のクルマ離れ」というキーワードが踊るようになって久しいのですが、筆者も東京に住んでいた頃は、クルマを持たない生活でした。都内の移動はむしろ交通機関を活用した方が便利だったし、交通の便が良いところに住む方が、クルマの維持費よりもはるかに安上がりだったからです。

 アメリカ生活でも当初はクルマを持つつもりはありませんでしたが、1週間で挫折して中古車を手に入れて大事に乗っています。ただ、最近のアメリカのクルマの装備面を知るべく、レンタカーで車を借りるときは、ちょっとだけ上のクラスの車を選ぶようにしています。

 今回借りたのはシボレー・サバーバンというクルマ。3列シート、7名乗車が可能なフルサイズSUVというやつです。これでラスベガスとグランドキャニオンの往復、9時間、約430kmを走破してきました。

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シボレー・サバーバンは3列シートにゆったりと乗ることができる、アメリカならではの大型SUVです

 まず燃費ですが、給油は結果から言えば、1回もせずに往復できたようです。若干怖かったので3ガロン(約11リットル)だけ給油しましたが、V8/5.3Lという大排気量エンジンであっても、高速巡航では半分の気筒を休ませる仕組みで低燃費化を果たしているようです。ダッシュボード内で頻繁に「V8」「V4」という表記が切り替わっていたので。

 シートはレザー調で適度な硬さ。そして座るとひんやり冷たい。シートヒーターは知っていましたが、シートクーラーもあったんですね。長時間ドライブではどうしてもシートが熱を持って心地悪くなってきますが、シートクーラーはその熱を取り去ってくれるので、なんとも快適でした。

 そして、ドライバーシートにはバイブレーターが仕込まれており、車線はみ出しや前方の衝突防止、駐車する際の近接センサー通知などは、太ももの外側に結構大きな振動として伝わってきます。特に大きなクルマなので、駐車の際のセンサーのアシストはとても役立ちました。

クルマの中で何をするかに則しての進化

 ドライブ体験もさることながら、このクルマ自体が4G LTEの電波を拾い、クルマに乗っている人向けにWi-Fi環境を提供する仕組みを備えていました。米国外から来た旅行者にとっては、Wi-Fiがつながるクルマというのは非常にありがたい存在と言えます。もっとも周りに何もない田舎道で、そもそもの電波状況が良い場所ではないのですが。

 また、USB端子は前席に2つあり、後部座席にはAC電源まで用意されています。前席のUSBにスマホをつなげば、iPhoneならCarPlay、AndroidならAndroid Autoの画面を前方のスクリーンに映し出すことができ、スマホで設定したナビでそのまま道案内をしながら、音楽を楽しむ事もできました。

 しかも、いわゆるグローブボックスの天板はワイヤレス充電に対応しており、スマホを置くだけで充電することができる仕組みを提供していました。これも、今っぽい仕様だなと感心しました。こうした大きなクルマで家族や友人と長距離移動をする際に、クルマの室内でそれぞれがどう過ごすか、という変化に敏感な仕様と言えるかもしれません。

 みんなでDVDの映画を観るなら、スクリーンが前席と後部座席にも備わって入ればよく、サバーバンではそうした仕様を選ぶこともできるようです。ただ現在であれば、スマホを1人1台ずつ持っており、クルマの中の時間をそれぞれのスクリーンで楽しめた方がよい、というニーズの方が強いでしょう。

 USBプラグを人数分用意し、タブレットやiPod touchを持っている子供用にWi-Fiを用意する、といった仕様はアメリカ人がどんなロードトリップをしているのかを反映しているようで、興味深かったのです。

 確かに、移動中の景色も楽しみの一つかもしれませんが、楽しい景色に巡り会う瞬間は4時間半のドライブで5回程度だったように思います。日本人としては地形の広大さにも感動を覚えるのですが。

 アメリカでは、クルマが前提の日常は、おそらく当面変わらないと思います。むしろクルマを前提とせず生活できるのは、非常に限られた都市か、クルマを不要としたライフスタイルを組み立てられた人だけでしょう。

 一方で、スマホは人々の生活の日常を担っています。必需品と言えるスマホとクルマの関係性に触れることができるのも、アメリカ生活ならではなのかもしれません。