国民投票は難しいことではない

どうすれば、日本でも国民投票が行われるのでしょうか。

 国民投票は、やろうと思えば簡単にできます。国会で、憲法以外の一般的案件を対象とした国民投票法を制定すればいいのです。日本は、残念ながら住民投票法がありません。住民投票を実施したい自治体は、それぞれに住民投票条例というルールをまず制定しなければならないのです。

 でも、議会はこの条例になかなか賛成しません。それでも条例が制定され401件の投票を実施したのです。

 国民投票になると、今度は住民投票条例ではなくて、国民投票法を制定することになります。今、国民投票を実施したいと思う議員は恐らく1割もいません。法律が通る可能性、制定される可能性は今のところ低いのです。

 しかし、刈羽村、巻町、徳島といった自治体は、最初こそ住民投票条例の制定に賛成する議員はごくわずかだったのですが、住民の声が上がることで、最後は過半数をとっています。

 今は1割しかいなくても、国民が声を上げ、何らかの形で立ち上がって行動を起こせば、衆参両院で国民投票法が制定され、実施される可能性があります。実際に、世論調査では8割前後の人が国民投票で決めたいと思っているのです。国民の声次第です。

 この本の「まえがき」では、この本を出したことによって、たくさんの人が国民投票を理解し、国民投票が実現されることを願うと書きました。これを読んだ人が、理解するだけでなく、国民投票が実現されるために本当に行動してくださることを願ってやみません。

「原発」は国会議員に任せるな。<br />国民投票で決めるべきだ!

   著者:今井 一(いまい はじめ)
1954年生まれ。ジャーナリスト。 
市民グループ[みんなで決めよう「原発」国民投票]事務局長。
第七藝術劇場[7gei-spirito][Forum7]プロデューサー。
大学での専攻は哲学で研究テーマは「自由論」。ポーランドにおいて独立自治労組「連帯」が誕生した81年以降、ソ連・東欧の現地取材を重ね、民主化の進行とソ連を盟主とした社会主義共同体の崩壊を見届ける。
96年からは、新潟県巻町、刈羽村、岐阜県御嵩町、名護市、徳島市、米原町、岩国市など各地で実施された住民投票を精力的に取材する。
また、04、05年には、スイス、フランス、オランダへ赴き、国民投票の実施実態を調査。06年~07年には、衆参両院の「憲法調査特別委員会」に5度にわたり参考人及び公述人として招致され、国民投票のあるべきルールや諸外国での実態などについて陳述する。

●主な著書に、
『CZEĆŚ(チェシチ)!─うねるポーランドへ』(朝日新聞社)
[ノンフィクション朝日ジャーナル大賞受賞]
『革命後の風景─モスクワ発バルト経由ワルシャワ行き』(教育史料出版会)
『阪神大震災の被災者にラジオ放送は何ができたか』(同朋舎/監修)
『大事なことは国民投票で決めよう!』(ダイヤモンド社)
『住民投票』(日本経済新聞社/編著)
『住民投票Q&A』(岩波書店)
『住民投票─観客民主主義を超えて』(岩波書店)
『実践の政治学』(法律文化社/共著)
『「憲法9条」国民投票』(集英社)
『対論!戦争、軍隊、この国の行方』(青木書店/編著)
『「9条」変えるか変えないか─憲法改正・国民投票のルールブック』(現代人文社/編著)
『市民が広げる議会公開─傍聴を閉ざす議会とメディアの欺瞞』(現代人文社/編著)
『「原発」国民投票』(集英社)

 

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政治家任せではなく、国の未来は自分で決める!
原発は日本国民のみならず人類の行方をも左右する重大な事案。その選択を問うには国民投票が最良である。欧州での国民投票、日本の住民投票の例も報告しながら、その仕組みと意義を解説する。原発に対する賛否両者の代表的な考え方も紹介する。

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