[東京 1日 ロイター] - 東芝<6502.T>の半導体メモリー事業売却を巡り、米ウエスタンデジタル(WD)<WDC.O>のスティーブ・ミリガンCEO(最高経営責任者)が8月11日付で東芝の綱川智社長に書簡を送り、一連の法的措置関係によって両者の関係を悪化させたとし、謝罪したことが明らかになった。

また、東芝メモリの大口顧客である米アップル<AAPL.O>について言及。アップルが安心感を持てるように合意することが、WDと東芝の双方にとって重要であると強調した。

ロイターが入手した書簡によると、ミリガンCEOは、半導体売却阻止に向けた一連のWDによる法的措置について「合弁事業における自分たちの権利を守る目的」だったと指摘しつつ、「東芝の一部の人々に嫌悪感を与えた」と認め、「深くお詫びする」と謝罪した。

さらに「法的措置は、われわれにとっても好ましい手段ではない」と強調。WD連合と売却契約を締結した場合、法的措置を取り下げると提案している。

また、アップルへの配慮についても言及。WD連合が東芝メモリを買収した場合、市場シェアが拡大し顧客に対する価格交渉力が増すとの懸念が出ているが、WDは同社の転換社債の保有にとどめ議決権は一切持たないほか、役員派遣や経営参画もないとした上で、「アップルが安心感を持てるような合意が(東芝、WD)双方にとって重要」と指摘した。

WDは、産業革新機構、日本政策投資銀行、米系ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)<KKR.N>を加えた日米連合を形成し、総額1.9兆円で東芝メモリ(TMC)を買収すると提案している。両社は8月中旬以降、契約締結に向けて協議を本格化させていた。

しかし、東芝は8月31日、米系ファンドのべイン・キャピタルなどのコンソーシアム、WDを含む企業連合、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>などの企業連合の3陣営との交渉を継続しているとのコメントを発表し、期限とみられていた8月中の売却先候補の選定を先送りした。

8月11日付の書簡で、ミリガンCEOは、合意に向けた交渉で残された課題は、ごくわずかなものになっており、通常の交渉過程では速やかに解決できるものだとしていた。

(山崎牧子、浦中大我 編集:田巻一彦)