オンライン広告の世界は常に変化し続けている。そこにはさまざまなプレーヤーがかかわり、変化に応じてそれぞれの役割も変わりつつある。常に新しい仕組みを提供し続けるグーグルと、広告主でもあり、広告を掲載するメディアでもある楽天の対談を通して、変化するオンライン広告とマーケッターの最新の取り組みを考えてみたい。 

佐々木 亨
グーグル株式会社
モバイル、メディア&
プラットフォーム
媒体ビジネス統括部長
1988年日本経済新聞社入社。96年よりNIKKEI NET のビジネス開発、営業に従事。アドサーバ、リッチメディア、動画番組、行動ターゲティング広告などのプロジェクト、クライアント営業に携わる。日本経済新聞電子版の立ち上げ、広告事業に従事後、2011年4月より現職。

佐々木 オンライン広告の世界はさまざまなプレーヤーで成り立っています。消費者と広告主のあいだには、広告会社がいて、広告を掲載するメディアがいます。メディアのなかには楽天さんのようなEC サイトを運営する企業やゲームプロバイダ、ソーシャルメディアも含まれます。

さらに、私どものようなプラットフォームを提供するテクノロジー企業があって、最近ではもっと専門的なサービスを提供する企業も出てきています。こうしたプレーヤーによって、オンライン広告の世界のエコシステム(生態系)が構成されています。

このエコシステムはこの2~3年で大きく変わってきました。背景にはテクノロジーの進化があるわけですが、広告を配信する方法や消費者のコミュニケーションのとり方も進化して、エコシステムは大きく複雑になっています。この現状を広告主としてはどう見ていますか。

友澤 3、4年前のオンライン広告の世界は、広告の出し方自体も難しくて、仕組みがわかっている広告会社に頼らざるをえない状況でした。このデジタル広告の壁を壊したのが、現在はグーグルの製品であるDoubleClick のDART という広告配信の仕組みでした。DART によって、オンライン広告のプランニングや最適化レポート(分析)まで自分でできるようになりました。 マーケッターにとってはこれまでとは別の選択肢を手に入れたと同時に、重い責任を負うことになったわけです。

一方、広告会社には、オンラインとオフラインの広告をどう統合するのかなど、よりレベルの高い提案が求められるようになり、プラットフォーム側のテクノロジーにも進化が求められています。広告主としても、より高い要求ができるように、自ら努力して常に新しいことにトライしないと、自分たちがオンライン広告の進化を止めてしまうことになりかねないと危惧しています。