[スタバンゲル(ノルウェー) 31日 ロイター] - ノルウェーで9月11日に予定される総選挙で、今後の石油開発の進め方が大きな争点に浮上している。選挙結果次第では、開発中止を掲げる「緑の党」が政権樹立のキャスティングボードを握る可能性があるためだ。

選挙戦はエルナ・ソルベルグ首相が率いる保守党と、ヨーナス・ガール・ストーレ労働党党首が主導する野党連合が激しく競り合っている。いずれの勢力も過半数の議席を確保できなければ、15年以内に石油の開発を止めて生産を徐々に減らすとの政策を看板とする小政党・緑の党が、政権発足で決定的な役目を担うだろう。

石油産業はノルウェーの輸出の半分を占め、関連する雇用は18万人強に上り、主要政党はいずれも開発継続を支持している。そのため緑の党が開発を全面的に停止できる公算は極めて乏しい。

ただ、緑の党の支持率は過去4年間にじりじりと上昇して5%程度に達しており、国民の間で今後の石油開発を巡る考え方が変化し、ばらつきが生まれていることが読み取れる。

環境保護運動家はこの数カ月、北極圏での石油会社の活動を制限すべきだという課題に集中的に取り組んでおり、仮に緑の党が政権樹立の決定権を握れば、協力と引き換えに石油産業の締め付けを飲むよう連立相手に求めることもあり得る。

ノルウェーの石油産業は2014─16年の原油価格急落時に人員を数千人規模で削減。今なお回復の途上にある。そのため石油産業が集中する西岸の都市スタバンゲルでは、総選挙に向けて石油産業を巡る議論がことのほか過熱している。

ルーテル教会の牧師で失業者へのカウンセリングも行っているエギル・エリングセン氏は「石油産業が閉鎖されたら、どうやって生活していくのか。これは多くの人々にとって重要な問題だ」と話した。

エリングセン氏は先週、地元の候補者との公開討論会を企画。約800人が参加した。討論会では雇用の生み出し方、石油産業が縮小した場合にどうやって生計を維持するのかなど、雇用に関する問題が繰り返し話題になった。

エリングセン氏は地元の緑の党候補者に「石油開発を中止した場合にどのような職があるのか具体的に示してほしい」と迫った。この候補は具体的な産業として、海上風力発電や林業、漁業を挙げた。

スタバンゲル郊外のDusavik港のマネジングディレクターのRune Veenstra氏は、選挙戦では各党の主張が対立し、先行きが不透明になっていると話した。港湾運営会社にとっては状況がはっきりしていて先行きが見通せることが何よりも重要で、そうであれば長期的な投資が可能になるという。「方向がはっきりしないのは一番困る」と話した。

(Gwladys Fouche記者)