自分流の“住宅スゴロク”で
街との相性を見極めよう

 「そのときのライフスタイルに合わせて、積極的に転居を繰り返すことをお勧めします。いわゆる昔の“住宅スゴロク”にこだわる必要はありません」

 確かに往時は、単身のアパート暮らしという「振り出し」から始まり、結婚後のファミリー向け賃貸マンション生活を経て、貯めた資金で分譲マンションを購入。最後は、マンションを転売して郊外に庭付きの一戸建てを買って「上がり」となるのが、住宅版人生スゴロクの基本構図だった。

 「しかし今は、臨機応変に住むエリアを変えて自分との適性を探っていく方法を取ればいい。いわば現代的で自分の生活に合った住宅スゴロクを具現することで、家を購入したい街に出会える確率も上がると思います」(池田氏。以下同)

 例えば、江戸川区は、住みたい街のランキングでいえば下位だが、いわゆる“保育ママ”の制度が充実しており、小さいお子さんを抱える家庭やシングルマザーにとっては“住んでよかった街”になるかもしれない。

 「保育ママの始まりは、実は江戸川区です。保育士や教員などの免許を持った人が、自宅の一部を開放して家庭的な雰囲気の中で保育してくれるという家庭保育園のようなものですが、江戸川区は東京の中ではダントツに充実しています。家族の力が強いというのも江戸川区の特徴なので、自分たちの持ち味をうまく生かした子育て支援が生まれたのでしょう」

 また、若い夫婦なら、これも住みたい街ランキングでは圏外になりがちな北区の赤羽などはいかがだろうか。

 「最近は、上野東京ラインが開通し、都心へのアクセスも格段に良くなりました。また現在、UR都市機構が赤羽台団地を建て替えています。これまでは、昔ながらの箱型団地(5階建てでエレベーターがない!)が並んでいたのですが、共有空間も充実した瀟洒な住居に変わってきています。当然ながら、若い人たちが住むことになるでしょう」

 赤羽は、街自体が持つパワーも強いと言う池田氏。大手スーパーはもちろん、商店街も充実。また、仕事帰りに一杯やりたい向きにはうれしい“千ベロ飲み屋”が軒を連ねるなど、懐に優しい点も若い世代を中心に住みやすさの目安といえるのではないだろうか。食わず嫌いはもったいない。住んでみたらよかった街は、まだまだ、見つかる可能性がありそうだ。

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