「いい睡眠」は何で決まるのか?

 その人にとっての最適な睡眠の量は「質×時間」で決まります。

 質が悪ければ睡眠時間を長くとる必要があり、質が良ければ、睡眠時間は短くても問題ないということです。

 ふだん10時間眠っている人は、睡眠の質が悪い証拠でもあるので、そういう人が時間を削って7時間睡眠にしてしまうと、もっと早く死んでしまう可能性があります。

 したがって、睡眠時間だけを取り上げて「7時間がいい」とか「5時間も寝れば十分」などと言うのは暴論です。

 疲労医学の立場からみたとき、質のいい睡眠とは、前の日の疲れがスッキリととれた睡眠です。睡眠というのは、疲れをとるための一つの手段なのです。

 7時間寝ようが10時間寝ようが、疲れがとれなければ、睡眠本来の目的を100パーセント達成しているとはいえません。たとえ睡眠カウンセラーが「睡眠自体に問題がない」と言っても、そうした目的を果たしていなければ、我々としてはいい睡眠だとは言えないのです。

 つまり、長時間寝ても疲れがとれなかったのは、「睡眠の質が悪かったから」ということなのです。