まず、北の核・ミサイル開発は今後もエスカレートし続けるのだろうか。結論から言えば、それを止めることは困難と言わざるを得ない。純然たる核保有国になることが、金一族の三代に渡るテーゼ(命題)となっているからだ。

 朝鮮戦争において、北は破竹の勢いで韓国に攻め込み、米韓連合軍を苦しめた。中国の後ろ盾もあり、韓国全土を制圧するまで引くつもりは全くなかった。しかし、米軍司令官のマッカーサーに「これ以上やるなら原爆を落とす」と脅され、民族の壊滅を回避するため、しぶしぶ休戦に応じたと言われる。

 だから金一族は代々、「あのとき自国も核を保有していれば、米国の脅しに屈せずに済んだのに」という気持ちを強く抱いているはずだ。金正恩も「北朝鮮が大国と伍していくためには核を保有するしか道はない」と思い込んでいる。彼らは全てを犠牲にしてでも核開発に走るだろう。そう考えると、北が核開発の凍結・放棄を前提とした交渉のテーブルに着くことは考えられず、各国との駆け引きは膠着状態が続くだろう。現実を直視すべきだ。

北の核・ミサイル「3つのシナリオ」
人的被害が少ない核攻撃とは?

 気になるのは、そうしたなか、今後北の核・ミサイルが日本にどんな影響をもたらすのかということだ。私は可能性があるものとして、3つのシナリオを想定している。それは(1)核爆発で電磁パルス(EMP)を発生させることによる社会インフラの被害、(2)ミサイルの落下による人的・物的な被害、(3)直接的なミサイル攻撃による人的・物的な被害である。

 第一に、核爆発で電磁パルスを発生させるシナリオだ(編集部注:これは北朝鮮も示唆している)。万一、北が核による直接攻撃で放射能をバラまけば、「人類の存在に対する罪」として国際社会から猛烈な批難を浴びる。そこまでやる可能性はさすがに低いだろう。やるとしたら高高度の核爆発。これは核を大気の希薄な高々度上空で爆発させるものだが、衝撃波や放射能の地上への影響が抑制され、人的被害は少ないと考えられている。

 その一方で、電磁パルス(EMP=Electro Magnetic Pulse)を発生させ、社会インフラの無力化を図ることになる。電磁パルスによって強力な磁場が電子部品や電子機器を襲うと、それらの機能が破壊され、データが消去され、GPSさえ機能しなくなる。人的な被害は少ないが、日本社会を混乱させ、一時的に武力や社会機能を無力化する上では最も効果が高い。