第二に、北が発射実験を行ったミサイルが日本国内に落下するシナリオだ。先日のように海上に落ちるのであれば害はないが、運が悪い場合もあり得る。ミサイルはある程度の角度をつけて落ちて来るので、都市部の高い建物がとりわけ危険だ。着弾した半径500メートル~1キロメートル以内の地域は、強烈な衝撃波、爆風、破壊されたものの破片の飛散が起き、甚大な被害を受けるだろう。もし、その弾頭に生物・化学兵器が搭載されていたとしたら、さらに深刻な事態を招く。

 そして第三に、直接的なミサイル攻撃が行われるシナリオである。残念ながら、私はこの可能性が最も高いと思う。カギとなるのは、北の暴挙を米トランプ政権がこのまま座視しているかどうかだ。本来米軍は、北がミサイルを発射した瞬間にそれらを迎撃し、打ち落としてしまえばよい。しかし、彼らはそうはしないだろう。少しでも失敗したら、自分たちのミサイル防衛システムに欠陥があると証明されてしまうからだ。

 そうだとしたら、彼らは事前に情報を集め、今後北がミサイルを発射しそうな場所をピンポイントで空爆する可能性が高い。ピンポイント攻撃だけなら「全面戦争にならないだろう」という思惑もあるはずだ。だがそのとき、日本も巻き込まれる。北を攻撃する際に米軍が沖縄、佐世保、岩国など日本国内の基地から出撃したとしたら、北は日本へ報復のためのミサイルを直接撃ち込んでくるかもしれない。軍事基地は迎撃対策ができているので、狙われるのは人口が多い都市部だろう。そこで起きる深刻な被害は前述の通りだ。

今から考えておくべき
個人や企業の「有事対策」

 こうした事態を見据えて、我々は今からどんな対策を考えておくべきか。また、万一のときに身を守るには? 個人も企業も、真剣に考えておく必要がある。

 まず、高高度の核爆発で電磁パルス(EMP)を発生させる攻撃だが、その場では対処のしようがない。国や企業は社会インフラを守るため、事前に有事を想定して防衛策を練るしかない。

 真っ先にやるべきは、重要な電子機器、それらが設置されている建物や部屋全体をシールドで完全に保護すること。すでに軍事用としてそうしたシールドが実用化されていると言われるが、大手民間企業の中にも以前から導入しているところはある。それはもともと核攻撃に備えるためでなく、落雷対策の意味があった。1980年代にカナダのケベック州で太陽のコロナに磁場嵐が発生した影響で、電子機器が誤作動を起こし、広範囲に大停電が起きたことも教訓となっている。