アラブ 2017年9月13日

教えて! 尚子先生
トルコやヨルダンが親日というのは本当ですか? それはなぜですか?【中東・イスラム初級講座・第43回】

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「親日国」といわれるトルコやヨルダン。日本とはどんな関係があり、なぜそうした意識が生まれたのでしょうか。その他、「親日国」といわれる国々の現状は? 日本では珍しい女性の中東研究家として活躍する岩永尚子先生がわかりやすく説明します。

 トルコやヨルダンは、よく親日国だといわれています。私が訪問したことのある国の数はあまり多くありませんが、その中でもたしかにトルコとヨルダンは親日国といえるかもしれません。ですが、それならイランやオマーンも、親日国なのではないかな?などと、そんな素朴な疑問が生じました。

 そこで、どの国が一般的に親日国と呼ばれているのかを知るために、インターネットで「親日国」と検索してみました。すると、読み切れないほどの件数がヒットしてしまいました。なるほど、親日国と呼ばれる国はこんなにたくさんあるのかと感心すると同時に、「親日国」という言葉自体が人気のある言葉なのだと感じました。

 「親日」という言葉には、「良好な2国間関係」とか「同盟国」と表現するよりは、はるかに「親しみ」が感じられ、現地の人の笑顔まで想像できそうなニュアンスが含まれているようです。そのためでしょうか、驚いたことに、「親日国ランキング」すら、多数存在していました。いったい、どうやって親日の度合を計るのだろう……と悩んでしまいました。

どの国が本当の「親日国」なのか?

 検索結果では実にさまざま国々が、親日国として挙げられていました。たとえば、台湾、ブラジル、ポーランド、リトアニア、タイ、アルゼンチン、モンゴル、フィンランド、パラオ、マケドニアなどがありました。中東・イスラム諸国では、トルコ、ヨルダンの他に、イラン、ウズベキスタンなども挙がっていました。

 本当に、日本はこんなに多くの国から好かれているのかな?と、さらに調べたところ、外務省のホームページにも、各国の紹介のページなどに、「親日」もしくは「親日国」という表現が、かなりたくさんの国に対して使われていました。上記以外にも、ギニア、モルディブ、ボリビア、ハイチ、パラグアイなどの国が親日国として紹介されていました。

 外務省では、対日世論調査を毎年、さまざまな国で行なっているため、その結果から親日という形容詞を使っているようでした。けれども、世論調査をしていない国についても、この表現が使われている国が数多くありました。

 中東の国々の中では2015年にエジプトのみと中東5カ国(エジプト、ヨルダン、チュニジア、アラブ首長国連邦、サウジアラビア)、中央アジア4カ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)で、2012年にはトルコでも、この対日世論調査が行なわれていました。残念ながら、エジプトと中東5カ国のデータは詳細が記載されておらず(中央アジアとトルコについては全質問・回答集計結果あり)、数値がわからないため、中東各国の国別の比較はできませんでした。

 アンケートの質問としては、「日本について関心がありますか」とか、「日本に対するイメージは」、「日本に行ったことがありますか」などの質問が続くのですが、親日か否かを知るために参考になりそうな質問としては、たとえば以下のようなものがありました。それぞれの結果をまとめてみたのが下記の表です。

■「日本とは現在どのような関係にあると思いますか?」

  トルコ カザフ
スタン
ウズベキスタン キルギス タジキ
スタン
EU5 ASEAN10
友好関係にある  49.2 48 59 32 83 17 34
どちらかというと友好関係にある 34.0 48 31  49 8 62 41
どちらでもない             15
どちらかというと友好関係ではない 7.2 1 1    0 1 8 4
まったく友好関係ではない 1.5 2 3 7 5 1 2
わからない      8.1 1 6 12 3 12 4

 

■「日本は信頼できると思いますか?」

  トルコ カザフ
スタン
ウズベキスタン キルギス タジキ
スタン
EU5 ASEAN10
信頼できる 45.6 21 20 19 49 27 30
どちらかというと信頼できる 36.0 53 40 35 19 49 43
どちらでもない             16
どちらかというと信頼できない 5.2 14 9 15 21 10 5
信頼できない 4.8 2 1 8 3 2 1
わからない      8.4 10 30 23 8 12 5

 

 表中のEU5とはEUのうちスペイン、イギリス、ドイツ、ポーランド、フランスの5カ国、ASEAN10はブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの10カ国の平均値です。これらのこの数値は比較検討する際の参考までに記載しました。

 なぜかASEAN10カ国の調査のみ、両質問の回答に「どちらでもない」という選択肢があるため、単純に比較するわけにはいきませんが、それでもトルコや中央アジアの国々は確かに数値のうえでもEUの平均値と同等かそれ以上であるために、親日的であるということができそうです。

 ところで、ヨルダンは?というと、世論調査は行なわれていますが、国別の詳細が公表されていないので、アンケート結果からの検討ができませんでした。そのため、推測の域をでないのですが、ヨルダンが親日であると考えられる理由は、ヨルダン王家と皇室の関係が良好であること(アブドッラー国王は12回も日本を訪問している)、ヨルダンとパレスチナへの長期にわたる多額の援助などがある(ヨルダンはパレスチナ系の住民が占める割合が7割ともいわれている)と考えられます。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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