講演だと顧客がバラバラ、期待もバラバラ

 ところが、やってみたら、全然違いました。

 そのときの講演依頼は、インハウス(一企業向け)のものではなく、一般セミナーやIT展示会、業界団体のものが多かったのです。

 聴衆の満足・不満足は、期待と現実のギャップによって生じます。

 現実が一定だとすれば、事前の期待とそれとが一致すれば「期待通り(満足)」となり、期待が大きすぎたりズレていれば「期待外れ(不満)」、逆なら「期待以上!(大満足)」となります。

 だから「期待値を上手に下げる」ことが満足度アップのコツだったりします。

◆満足度は期待と現実とのギャップで決まる

出典:『ゼロからのプレゼンテーション』
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 ところがこの「期待」は個々人によってその内容がまったく異なります。しかし、講演時に提供できる「現実」は通常、たった1種類だけ。

 なので、現実、つまりプレゼンテーションの内容が完璧だとしても、それがその聴衆個人のニーズに合っていなければ、満足度は大いに下がるでしょう。問題は期待の大小より現実とのズレなのです。

 東京ビッグサイトのIT系展示会(エキジビション)などで講演をすると、聴衆のバラツキに驚きます。

 大企業の社長クラスから新入社員までが聴衆として集まり、その知識レベル・興味関心はバラバラです。更には、立場が180度異なるヒトたちの集まりになります。つまりITを使う(ユーザー)側と提供する(ベンダー)側です。

 展示会には無数のIT企業がブースを出しスタッフが常駐しますが、みんながずっと忙しい訳ではありません。だから、展示会は「ユーザー企業への売り込みのために開かれるもの」なのに、そこでのイベント(講演など)参加者は、半数がIT系ベンダー自身、などということになるのです。

 ユーザー企業の中でも、社内情報システム部門のヒトと、ユーザー部門のヒトでは、これまた期待が全然違います。この三者(ITベンダー、ユーザー企業IT部門、ユーザー企業ユーザー部門)すべての「期待」に同時に応える話なんて、できるわけがありません