[ワシントン/ニューヨーク 8日 ロイター] - 米JPモルガン・チェース<JPM.N>のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)の頻繁な「ワシントン詣で」が政界や金融業界で話題となっている。

ダイモン氏は昨年12月に米大手企業の最高経営責任者(CEO)で構成するビジネス・ラウンドテーブル(BRT)の会長に就任後、首都ワシントン訪問が急増。複数の消息筋によると、年初来の回数は既に十数回と例年の4倍に達し、有力な政界関係者などと幅広い課題について話し合っている。

ワシントン訪問の頻度が高く、取り上げる内容が多岐にわたっていることから、政界や金融業界ではダイモン氏がJPモルガンと直接関係のない課題に注ぐエネルギーの大きさが話題になり始めている。一介の経営者というよりは一国を総べる人物のように振る舞っているとの声も聞かれる。

金融業の業界団体であるファイナンシャル・サービシズ・ラウンドテーブルのティム・ポーレンティーCEOは「ダイモン氏には以前からワシントンに接近する手段があった。これまでと異なるのは、今はダイモン氏がそれを望んでいる点だ。単にJPモルガンの代表としてではなく、もっと幅広い政策について役割を担いたいのだ」と述べた。

ダイモン氏は過去に、実現したい唯一の大きな仕事は米国の大統領に成ることだが、立候補は難しいだろうと述べている。

ダイモン氏に近い筋によると、同氏は既に大統領に立候補するという考えを完全に捨てており、ワシントンを頻繁に訪れているのはJPモルガンや米経済、そして米国の将来を憂いてのことだという。

JPモルガンの広報担当者はコメントを避けた。ダイモン氏のコメントは得られていない。

ダイモン氏が最近会談した相手には共和党のマコネル上院院内総務、民主党のシェロッド・ブラウン議員やマーク・ワーナー議員が含まれている。また、コーン国家経済会議(NEC)委員長やイエレン連邦準備理事会(FRB)議長とも会談している。

ダイモン氏はこの夏、あまりにもワシントンでの出没頻度が高いため、地下鉄で遭遇したり、議員の事務所から出ているのにぶつかるのも珍しくない。ある消息筋によると、通勤が多すぎるのでワシントンにコンドミニアムを買おうか、という冗談をスタッフと飛ばしたこともある。

ダイモン氏との会談に参加した関係者によると、同氏は税制改革や金融規制などの課題を集中的に取り上げるが、移民や教育、刑事訴訟改革などの課題を俎上に乗せることをためらわない。議員との会談では、議会の法制化が進まないことに懸念を示しているという。

長年ダイモン氏を観察し続けている人々は、もともと直言型の同氏が、トランプ政権になってさらに声高になったことに驚いてはいない。

近しい人々によると、ダイモン氏は温暖化防止の枠組みである「パリ協定」からの離脱や、自由貿易協定を反故にする姿勢、不法移民の子の強制送還解除など、トランプ氏の政策に衝撃を受けている。

バージニア州シャーロッツビルで白人優越主義者らと反対派が衝突した事件を巡り、トランプ氏が両者に非があるとの見方を示した際、ダイモン氏は従業員向けのメモに「財界であれ政府であれ、リーダーの仕事は人々を引き裂くのではなく結束させることだ」と記し、大統領としての振舞い方を忠言した。

(Pete Schroeder記者、David Henry記者)