これに対して、女子の場合はすでに記録が高原状態にあり、記録更新の展望は小さいとされる。ここで、ロジスティック曲線とは、上限がない場合の指数曲線に対して、上限がある場合の自然界の増加傾向を一般的に表すものとされる傾向線である。

 ちなみに、同じ論文によれば、100m走ばかりでなく、200m走、400m走、1500m走など他の陸上の競走競技についても同様の傾向が看取されており、結果として、この分野では男女の“ジェンダーギャップ”は縮まらないものとされている。

 論文に掲載されていたロジスティックモデルによる最高スピードの予測値は、男子100m走は9秒48であり、現行のウサイン・ボルトの世界記録9秒58については、もう少し短縮が可能とされている。

 以上を総合的に考えると、今回、桐生選手が達成した日本記録については、さらなる短縮が可能だといえそうだ。

(統計データ分析家 本川 裕)