――2~3日は相当短いですね。どんなことができるのですか。

「意識がはっきりしたらご本人やご家族とお話をして、危険な状態がどれくらい差し迫っているのかというのを、しっかり見ます。帰しても大丈夫なのか、帰すのはかなり難しい状態なのかを判断します。

 精神科外来への通院だけで大丈夫そうなら、そのままご帰宅してもらうこともあるし、そうではなく、心配な状況であれば、精神科病棟への入院も含めた対応を検討します。

 身体は回復し、精神科の治療も必要ないけれど、ほかの社会的な問題を抱えているようなケースも少なくありません。たとえば『帰る家がない』という場合には、救命センターにもう何日かいていただき、その間にソーシャルワーカーさんが役所と連絡を取り、退院後心配ない状態を整えて退院していただくようにしています。

 患者さんには必ず、自殺に追い込まれる理由があります。それがもちろん精神疾患という人もいらっしゃるのですが、大体はそれだけじゃなく、難しい問題が重なっている場合が多いので、困っていることや、自殺に追い込まれた理由を聞き出し、相談して、現実的にどうやって解決しようかという話をさせていただくということをしています」

会社とのやりとりや
金銭トラブルへの対応も

――医師以外には、どのようなスタッフがいますか。

「臨床心理士さんが1人と、救命センターを担当しているソーシャルワーカーさんが1人います。

 臨床心理士さんは、場合によっては、患者さんが目覚める前からご家族に連絡を取ったり、医師とは違った立場で、本人やご家族に比較的長い時間話を聞いて、対応してくれます。

 ソーシャルワーカーさんは、ただ単に転院先の病院や施設を探すだけでなく、退院後の生活をどうするかを患者さんとともに考えてくれます。患者さんの生活環境や経済状況まで考慮した上で、医学的な判断と本人の意向とのすり合わせを行い、僕に対してもアドバイスしてくれます。

 加えて、うちは病棟の看護師さんが、かなりがんばっています。看護師さん一人ひとりが、自殺の患者さんにどう対応していくかを勉強し、ちゃんと考えてくれている。

 日曜日とか僕がいない時に搬送されてきた患者さんには、自殺に至った経緯や、今でも死にたい気持ちはあるのか、さらにどんなことで困っていて、これから解決しなければいけないことは何か、といったことまで聞きだして、翌日情報を共有してくれます。

 こういうことは、他の救命センターではまずないことだと思いますね」