次々に男性のスキンケア製品を生み出すマンダム。その製品開発の基盤となっているのが「マンダムの研究所」だ。同研究所を訪れ、研究・開発の考え方と、肌研究の最前線「印象肌」研究をレポートする。

大阪市中央区のマンダム本社内にはマンダムの研究所があり、基盤研究所や技術開発センターといった複数の部門で構成されている。基盤研究所の役割は、肌などの人体生理メカニズムを明らかにして、製品の基盤となる新しい素材や技術の提案を行なうこと。技術開発センターは基盤研究所と連携し、その提案を具体的な製品にするのが役割だ。マンダムは、男性化粧品に関連する研究では日本で屈指の実績を持つ。男性に特化した研究が必要なのは、男性と女性では肌そのものの特徴や生活習慣が異なるからだ。

男性の肌を徹底研究。日本人へのこだわりとは

 基盤研究所の山口あゆみ主事は、男性の肌の特性についてこう語る。「男性の場合、女性と違って化粧やスキンケアの習慣がなく、紫外線によるシミやしわ、たるみが出やすくなります。また、女性に比べて年齢を重ねても皮脂量が減らないため、その皮脂が酸化して炎症や肌荒れを起こしやすい。長年のひげ剃りの習慣も、皮膚に大きなダメージを与えています」

(左)橋本公男 マンダム技術開発センター フェイスケア製品開発室 主任(右)山口あゆみ マンダム基盤研究所 生理解析研究室 主事(左)橋本公男 マンダム技術開発センター フェイスケア製品開発室 主任
(右)山口あゆみ マンダム基盤研究所 生理解析研究室 主事

 このため、男性向けと女性向けではスキンケア製品の処方の考え方が異なる。

 そして、マンダムが長年にわたって研究・評価を続けてきたのが、日本人男性の肌。

 技術開発センターの橋本公男主任は、「ここまで深く日本人男性の肌を研究しているところは他にないと思います」と胸を張る。

 肌質だけではない。日本の男性特有の“好み”も重視する。

 「男性のスキンケア製品は、特に使用感、使い心地にこだわっています。品質が安定していることや、効果効能をしっかり感じられることが前提ですが、男性はベタつく使用感を嫌うため、保湿力を高めながらもサッパリ感のある処方設計を考えます。気持ち良く最後まで使い切っていただき、良い肌の状態になっていただきたいのです」(橋本主任)と製品開発に込める思いを強調する。

「老けて見える原因」の正体を研究する

 これまでスキンケアと言えば、「肌が乾燥したから保湿する」という対症療法的な手法が中心だった。だが、マンダムの研究所では従来の枠組みにとらわれず、新しいアプローチでの男性スキンケアを模索している。その中で、現在、力を入れているのが「印象肌」の研究だ。

 人を見て「老けた」と思うのはなぜか? その「印象」の正体を解明すれば、新しい製品開発の糸口が見えて来るはずだ。

「きっかけは、2013年に参加した『日本顔学会』でした。さまざまな研究分野や職業の方が集まる学会なのですが、そこで加齢変化として議論されていたのは、主に顔の形状でした。目尻が下がる、口元が変わる、鼻の下が伸びる……。肌の話はあまり出ていませんでしたが、学会で交わされる議論を聞く中で、『肌の状態で顔の印象は変わるはずだ』という着想を得たのです」(橋本主任)

 じつはマンダムの研究所には、10年程前に撮影した男性の写真と詳細な顔のデータがあった。同じ男性の顔をもう一度撮影し、第三者に印象を評価してもらえば、「老けた」と思う要因が明確になる。その取り組みが「印象肌」の研究だ。

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