Webならではの
斬新な広告の持つ可能性

 このLMWベビーカーを皮切りに、ヤマハは「もしも○○がLMWだったら?」という特設ページを公式サイト内に設けて、第2弾、第3弾も企画している。第2弾は「LMWスーツケース」で、第3弾は「LMW学生コンテスト」。これは理工系の大学生たちにLMW応用のアイデアとプロトタイプで競ってもらう企画で、コンテストは8月21日~25日に実施され、その模様を紹介する動画が9月公開予定となっている。

 このヤマハのWeb広告戦略は、さまざまな示唆に富んでいる。

 似たような先例としてまず浮かぶのが、瞬間接着剤アロンアルファのテレビCMだ。瞬時に強力に接着するアロンアルファの便利さと用途の広さを、割れたレコードの破片を接着して再び聴けるようにするCMや、ウィリーで走ってきたトライアルバイクの前輪が柱に貼りついてしまうCMなどで鮮烈に印象づけ、消費者が気づいていなかった接着剤マーケットを開拓した。

 テレビCMはそのように波及力が非常に大きいが、予算がかさみ、またSNSの普及による炎上がたびたび起こるようになったことで、かつてのような冒険がしづらくなっているという、近ごろならではの事情もある。

 その点、Web広告には、低予算で冒険がしやすいという利点があるのだ。

 たとえば、コンドームの国内シェアNo.1を誇る化成品メーカー・オカモト株式会社には、「オカモトゼロワンCM 恐竜篇」という動画CMがある。ティラノサウルスの交尾をユーモラスに描いたもので、テレビではとてもじゃないが放送できっこない構図だ。これもまた、Webならではの冒険的企図に満ちたCMとして、大いに参考になる。

 一方、ヤマハのLMWベビーカーは、ライダー以外には真価が伝わりにくいLMWテクノロジーを使う土俵を我々の日常生活内にシフトさせ、派手なパフォーマンスでそのすばらしさを一般の人々にも強く印象づけるものだ。手法としてはアロンアルファのテレビCMに似ているが、Webならではのフットワークの軽さで手を変え品を変えて挑めるところに新たな可能性を感じる。

 テレビCMほどの直接的な波及力はなくとも、SNSのバズりをうまく追い風にすれば、大きな費用対効果も期待できるだろう。ヤマハの「もしも○○がLMWだったら?」シリーズは、そのように広告戦略のヒントに満ちている。

(待兼音二郎/5時から作家塾(R))