田原提案は、多くの国民が望んでいることでもある。トランプと金正恩は、互いに相手の本心が分からない。威圧して出方を見ているが、挑発合戦は引くに引けないまま武力行使に踏み込む恐れがある。相手を読み違うと戦争に発展しかねない。

 まずは話し合って相手の考えを聞く。つまり対話の窓口を開くことが常識的な手順だろう。この程度のことは政府部内で検討されていなかったのだろうか。

 2+2会合で河野が切り出したというが、ティラーソンは戸惑ったに違いない。初対面の日本の外相が、事前協議もないまま、いきなり持論を展開したのである。外相会談は事前に筋書きがつくられている。閣僚が自分の思いで発言することがあっていいが、個人的な信頼関係がないと、「不規則発言」で終わる。

 河野の思いは決して悪くない。が、ティラーソンから見れば「新米の外相が来て、いきなり説教された」と映るだろう。

 「アメリカは何を考えているのは分からない」と反応する政府首脳も困ったものだ。何を考えているか分からないアメリカに、この国は付き従っている。

 田原が書いている通りなら、安倍首相も「対話路線」を望んでいるようだ。評論家の助言を待つまでもなく、外務省を動かし、米国や北朝鮮に働きかけないのか。外相会談でいきなり持ち出せば、相手は困惑する。アメリカの外交に日本が口を挟み、新6ヵ国協議を開催しろ、といきなり言うなど、立場をわきまえない発言と映るだろう。

画期的な外交成果だった
日朝平壌宣言のその後

 今の日米同盟で、日本は北朝鮮に対し外交の自主性がない。ないのは対北朝鮮だけではないが、北との関係はとりわけ顕著だ。北朝鮮も「日本は相手にできない」と一人前扱いしていない。きっかけは2002年の日朝平壌宣言である。

 時計の針を15年前に戻してみよう。小泉純一郎が平壌で金正日と会い国交正常化交渉を謳った共同声明を発表した。