アメリカには「ならず者国家」のリストがある。北朝鮮は1990年代にイラン、イラク、アフガニスタン、リビアと一緒に指定された。その後、イラクやアフガニスタンは理不尽な言いがかりで攻撃され、サダムフセインやウサマ・ビン・ラディンは殺害され、リビアのカダフィ大佐も殺された。アメリカに逆らえば国家も指導者も殲滅される。北朝鮮もいつ攻撃されるか分からない。

 国家の存立にはアメリカの保障が必要だ。アメリカと平和条約を結びたい。話し合いは拒否されている。原爆を持てるのは第二次大戦の戦勝国だけ、という世界秩序は時代遅れだ。なぜアメリカやロシアが核を持って北朝鮮が持ってはいけないのか。内戦に勝利した中国共産党は世界の反対を押し切って核実験を強行し、そうやって米国と外交関係を築いた。インドもパキスタンも自力で核を開発している。北朝鮮も核を持てば国家として認められ、アメリカも交渉のテーブルに着くだろう。苦しくても核開発を続けるしかない。

 「ならず者国家」はアメリカだ。圧倒的な軍事力を持ち、「斬首作戦」などとテロを公言している。攻撃してきたら一斉にミサイルを発射してソウルや日本の米軍基地を火の海にしてやる。攻撃力は最大の抑止力だ――これが北朝鮮の論理だ。

 窮鼠猫を噛む、というが、体制の存亡を賭けて北は必死の思いで米国に対抗している。

今の北朝鮮はかつての自画像
交渉開始は早ければ早いほどいい

 そんな金体制を日本人は笑い、怖がるが、第二次世界大戦に突入したころの日本は、あんなものだったのではないか。

 「天皇陛下万歳」で男は戦場に赴き、戦死が誇りとされ、女は夫を失っても「名誉の戦死」と気丈にふるまうことを求められた。

 孤立し、経済制裁を受け、石油を止められ、追い詰められて戦争に突入した。ボタンをどこかで掛け違い、日本人だけで300万人の命が失われた。

 骨身に沁みたはずの日本人が、北朝鮮を笑い、恐れている。いま隣国で起きていることは、かつての自画像ではないのか。