ビジネスが思い通りに進む英語でのメールの書き方とは? 日本人が書いてしまいがちな自分の立場を弱くするメールが、ほんの少しのコツで相手を動かすパワーメールに変わる!

英文メールで思いを伝えて
相手を動かす方法

 ・英語でメールを書いたのに返事が来ない
 ・返事は来たけど、こちらの思いが伝わっていない
 ・依頼・謝罪・催促・交渉などを英文メールでしても、期待通りの結果にならない

 がんばって英語でメールを書いても、物事がうまく進まないと、「英語が下手だからかな」と思ってしまいがちです。
 でも、本当にそうでしょうか?
 英文メール、なかでもビジネスメールの場合は、うまくいかないのは英語力のせいとは限りません。

 英語力ではなく、そもそもの発想の違い、日本的発想に引っ張られて、書くべきことを書かなかったり、書かない方がいいことを書いてしまったりしている可能性があるのです。

 そこで、この連載では、英語で主にビジネスメールを書くときに、知っておきたい鉄則(テクニック)を紹介します。
 日本語で書くときと同じ感覚で文章を考えて、それを英訳して……では、ビジネスを前進させる英文メールにはなりませんよ!

今日の鉄則:Sorryは気軽に書くな!

 連載1回目の今日は、謝罪メールについて解説しましょう。

 ・文例集を参考に、ていねいな謝罪メールを出したから、相手もわかってくれるだろうと思っていたのに、かえって怒りが増したようだ
 ・些細なクレームが来たので、とりあえず謝罪のメールを出しておいたら、とんでもない要求をされてしまった

 このような失敗は、「謝りすぎ」が原因かもしれません。

 日本人がやってしまいがちな謝罪メールでの失敗に、「謝りすぎ」があります。
 「謝れば許してもらえてチャラになる」というのは、日本人にありがちな考えですが、海外ビジネスでは通用しません。
 ビジネスで謝ると、相手に対して責任を負うことになり、場合によっては賠償責任まで問われることになります。

『思い通りに相手を動かす 英文パワーメール20の鉄則』の共著者で、英国人のダニエル・ブルックス先生は、「謝ることは懺悔の表現だ」と言います。
 謝罪の言葉は、本当に悪いことをした時に使うものであって、海外では日本よりも重い意味をもつのです。

 次のメールは、海外の代理店から、商品の出荷が遅いので、いつも通りもっと早く送ってくれ、と強く言ってきたことに対する返事のメールです。
 実は、契約では、出荷は受注の1ヵ月後なのですが、いつも日本側の努力で、受注後2~3週間で出荷しています。しかし、今回は在庫がないため、出荷には1ヵ月かかると通知したら、クレームのメールが来たのです。

 さて、この場合、日本側の担当者は謝るべきでしょうか?

 もちろん、謝るべきではありません。これは契約の範囲内であり、こちらに非はないからです。
 ありがちなのは、相手の要求に添えないということだけで謝ってしまうことです。
 特に、相手が強く言ってきた場合は、なだめようとしてそうしがちです。

 この担当者も、メールの冒頭で謝ろうとしましたが、思い直して、謝るかわりにThank you for your email. から始めることにしました。
 そして、事実を伝える次のメールを出しました。

Dear Mr. Barnard
Thank you for your e-mail.
Basically the shipping date is one month after the receipt of an order. We usually ship goods within 2-3 weeks after an order, if there is stock available. This time we do not have the item you have requested in stock. Therefore, it will take one month, and the shipping date will be April 30th. 
We will try to ship it earlier even though it cannot be guaranteed.
We will get in contact with you if the situation changes. 
Best regards,
バーナード様
メールをありがとうございます。
受注してから出荷までは、基本的に本ヵ月です。我々は、在庫があればふつうは受注後2~3週間で出荷しています。今回は、ご希望のアイテムのストックがございません。したがって1ヵ月かかり、出荷日は4月30日となります。
保証はできませんが、少しでも早く出荷できるよう心がけます。
状況が変わりましたらご連絡申し上げます。
敬具

 相手の言ってきたことに対して、このように筋を通して返すことは、日本人には少し勇気がいるかもしれません。
 でも、相手のプレッシャーに臆して謝ることはせず、しっかり事実を伝えるべきです。
 筋が通っていれば、相手は意外と何も言ってこないものです。
 そして、今後も、あまりうかつなことを言ってこなくなるでしょう。

 ここでのコツは2つあります。

 ・こちらが筋を通して言う時は、上から目線になったり、感情的になると、絶対にうまく行きません。あくまでも、事実をたんたんと述べるようにします。
 
・このメールは、初めに謝罪の言葉の代わりに、Thank you for your e-mail. と書いています。謝罪をするとこちらの立場が悪くなりますが、Thank you であれば、こちらの立場は悪くなりません。
そこで、よほど相手に迷惑をかけたのでなければ、メールはThank you から始めるのが得策です。

■日本人が書いてしまいがちなダメなメール例

『思い通りに相手を動かす 英文パワーメール20の鉄則』より。右のふきだしは、メールを読んだ相手の気持ち。冒頭から謝りっぱなしなので、相手の気持ちもヒートアップ。どんどん強気にさせてしまっている。※本書では、解説の便宜上、文字に濃淡をつけています。実際にメールを書くときは、特別な理由がない限り、文字に濃淡はつけません。詳しくは本をご覧ください。
拡大画像表示


■書き直して「パワーメール(ビジネスを前進させる力あるメール)」に!

『思い通りに相手を動かす 英文パワーメール20の鉄則』より。※本書では、解説の便宜上、文字に濃淡をつけています。実際にメールを書くときは、特別な理由がない限り、文字に濃淡はつけません。詳しくは本をご覧ください。
拡大画像表示


■ネイティブが書く、こなれたメール

『思い通りに相手を動かす 英文パワーメール20の鉄則』より。ダニエル先生も、謝罪の言葉を書かずにすむ書き方をしています。状況の説明をしっかりするのも英文メールの特徴です。状況や理由を書かずに、とにかく「すみません」としてしまいがちな日本人が気をつけたい点です。※本書では、解説の便宜上、文字に濃淡をつけています。実際にメールを書くときは、特別な理由がない限り、文字に濃淡はつけません。詳しくは本をご覧ください。
拡大画像表示


 今回紹介した謝罪メールのテクニックは、拙著『思い通りに相手を動かす 英文パワーメール20の鉄則』で、「鉄則3:Sorryなど謝罪の言葉は気軽に使わない」として紹介しています。
 本の中では、メールの読み手の気持ちをふきだしにしたり、一文ごとに解説を入れて、書き方のコツを見やすく表現しました。
 また、共著者のダニエル先生による、ネイティブならではの、より自然なメールの例も掲載しています。

 今回の例のように、必要もないのに気軽に謝らないことで、自分の立場を弱くすることをさけられます。
 一方、相手は、プレッシャーをかける立場から、お願いする立場へ変わります。
 そして、こちらが努力して、相手の“お願い”に応えてあげれば、相手は喜びます。
 すると自然に、こちらが主導権をもって、ビジネスを進められるようになるでしょう。