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 前回はウォークマンの最新モデルを紹介したが、同時に発表されたワイヤレスヘッドフォン「1000X」シリーズの注目度も高い。

 1000Xシリーズは3つの製品がある。1つは完全ワイヤレスタイプとなる「WF-1000X」(実売価格 2万7000円前後)、次いでネックバンド型の「WI-1000X」(同3万7000円前後)。そして、オーバーヘッド型ヘッドフォンの「WH-1000XM2」(同4万3000円前後)。今回はこの3モデルをじっくりと紹介していく。すべて10月7日発売だ。

なぜ、1000Xシリーズが注目されているのか?

ソニーヘッドフォン
従来モデルの「MDR-1000X」

 その前に、なぜ1000Xが注目されているか、その背景を少し解説する。この3製品は2016年に発売されたワイヤレスヘッドフォン「MDR-1000X」の後継機種となる。

 MDR-1000Xはノイズキャンセリング機能を搭載したBluetoothヘッドフォンで、その万能性から大ヒット商品となった。

 その後継モデルという理由もあるのだが、今回の新製品の中に完全ワイヤレスタイプでノイズキャンセリング機能が搭載されているWF-1000Xがあり、ソニー初の完全ワイヤレスタイプということで注目が集まっているのだ。

完全ワイヤレスでノイズキャンセルも搭載!!
軽快さNo.1の「WF-1000X」

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カナル型のイヤフォンと収納ケースがセットになっている「WF-1000X」

 ということで、早速WF-1000Xを紹介していこう。カナル型のコンパクトなモデルで軽快に使えるタイプだ。

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ハウジングの外側にはノイズキャンセル用のマイクが、前方の透明部分はアンテナがある
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イヤーチップ側を見ると、充電用の接点がある。ドライバーユニットを収める部分は円筒形となっている

 ハウジングは前方の透明な部分にアンテナが配置された形状になっている。製品の構成は、左右のイヤフォンと充電器を兼ねる収納ケースがセットになっており、このあたりは他の完全ワイヤレスタイプと同様だ。

 使用するドライバーユニットは、直径6mmのダイナミック型でCCAWボイスコイルやネオジウムマグネットを採用している。

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収納ケースにセットした状態。カチリと押し込むと充電が開始される
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収納ケースの裏側。NFCのマークはここにある

 NFCのチップは本体ではなく収納ケースに装備されており、ケースの裏側にNFCマークがある。ケースにセットした状態でNFCによるBluetoothペアリングを済ませるのは手軽だ。

 ケースから取り出すと電源が自動でオンとなるのですぐに使えるのも便利。なお、手動のペアリング操作は左側のイヤフォンにある電源ボタンでも行なえる。

 連続再生時間は約3時間だが、収納ケースで2回分の充電が可能。使わないときにケースに収納すると充電されるので、あまり再生時間の短さは感じないだろう。

 アンテナ部分が前側に張り出してはいるが、ハウジング自体は円筒形の形状でサイズはやや大きめ。バッテリーやBluetoothのための回路も持つので仕方ないだろう。

 ノイズキャンセル機能は、外音取り込み機能も備えており、左側にある電源ボタンを短く押すことで切り替わる。このほかに、スマホ用アプリ「Headphones Connect」(無料)に対応しており、細かな設定ができる。これについては次回紹介する。

完全ワイヤレスはイヤーピースが重要

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WF-1000Xの装着イメージ。アンテナ部分の張り出しが少し耳の前側に出ている

 装着はイヤーチップを耳の穴に差し込むだけでなく、根元部分にフィッティングサポーターがあり、これが装着感を高めて外れにくくしている。装着時に捻るように耳に差し込むことで耳にぴったりと収まるのだ。

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イヤーチップ部分の根元には装着感を高めるフィッティングサポーターも備わっている
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WF-1000Xに付属するイヤーピース。豊富な種類が揃っており、フィッティングサポーターのサイズも選べる

 イヤーチップは、ハイブリッドイヤーピースロングがSS/S/M/Lの4種と、シリコンフォーム素材を組み合わせたトリプルコンフォートイヤーピースがS/M/Lの3種付属する。

 さらに、フィッティングサポーターもMとLの2種が用意されている。完全ワイヤレス型だけに、不意に外れてしまうことがないよう、サイズや種類も多数用意している。

 イヤーピースによって音の感じ方も変わってくるので、どのイヤピースを使うかは重要。ぴたりと装着できるものを選んで使うように心がけたい。

おだやかで自然な感触
完全ワイヤレス型としてはなかなかよく出来た音

 基本操作は左右それぞれのイヤフォンにあるボタンで行なう。右側のイヤフォンにあるボタンを押すことで、通話や音楽再生の操作ができる。

 ペアリングを済ませて装着してみると、サポーターがあることもあって装着感はなかなか良好。耳からはややはみ出す感じだが、グラつく感じやすぐに外れてしまいそうな不安感はない。

 複数あるイヤーチップを選んできちんとサイズを合わせれば、さらに安定した装着ができるだろう。

 音を聴いてみると、音圧はやや小さめで大音量で聴きたいという人だとフルボリュームでも少し物足りない。少々パワフルさは不足気味だが、音が痩せた感じではなく、ボーカル曲の声のニュアンスも自然で丁寧だし、バックの演奏の音も粒立ちよくしっかりと聴き取れる。

 クラシックなどを聴いていても、各楽器の音色もきちんと再現できており、解像感もなかなか優れている。

 Bluetoothによる音質の劣化や高域の粗さも感じることはなく、完全ワイヤレス型としてはなかなかよくできている。

 音質的にはどうしても不利となるが、音圧がやや足りない点を除けば、質的に大きな差を感じない。完全ワイヤレス型もずいぶんと音質がよくなったと感心した。

 

LDACにも対応するハイレゾモデル
ネックバンド型の「WI-1000X」

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WI-1000Xの外観。やや大きめのネックバンドにカナル型のイヤフォンがつながったスタイルだ

 WI-1000Xはオーソドックスなネックバンド型。こちらはコーデックとしてLDACにも対応しており、ハイレゾ音源も96kHz/24bitの伝送が可能。ハイレゾ相当の高い音質が楽しめる。

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イヤフォン部分。XBA-N3などのハイブリッド型モデルに近い小判型のハウジングとなっている。ノイズキャンセル用のマイクは前方と後方の2箇所に内蔵する
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あまったケーブルをネックバンド部分に収納できるので、ケーブルがかさばりにくい
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ネックバンドの内側には操作ボタンがある。左側には、電源ボタンや音量、基本再生操作のボタンがある
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右側のネックバンド部分には、ノイズキャンセル機能の操作ボタンがある
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充電用のmicroUSB端子もネックバンド部分にある。有線での接続でも使用する
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バッテリー切れ時に使用する有線接続用コード。microUSB端子に接続して使う

 使用ユニットは直径9mmのダイナミック型と同社イヤフォン「XBA-N3」などでも使用しているBA型(バランスド・アーマチュア)ドライバーによるハイブリッド型。

 デジタルアンプはハイレゾ対応の「S-Master HX」を搭載。CD音源や圧縮音源をアップコンバートする「DSEE HX」も備える。

 バッテリーやBluetoothアンテナを内蔵するネックバンド部は、やや大きめな印象だが、その分、連続再生時間は最大13時間(NC OFF時)と十分な長さとなっている。

 ノイズキャンセルのためのマイクも内蔵しており、こちらも外音取り込み機能も持つ。手元の操作で切り換えができるが、スマホによりさまざまな調整も可能だ。

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付属するトリプルコンフォートイヤーピース。3サイズが用意されている

 こちらもイヤーチップは、一般的なシリコンタイプとトリプルコンフォートイヤーピースが付属。イヤフォン自体がコンパクトなこともあり、装着感自体は軽快だ。

 また、ネックバンドから伸びたケーブルをネックバンドに収納できるので、あまったケーブルが邪魔になることもない。これはなかなか便利だ。

高解像な音でも小粒になることはなく
バランスのいい音

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装着イメージ。ネックバンドにケーブルを収納することで、ケーブルが邪魔になりにくくなっている

 試聴してみると、解像感の高さを感じる鮮明な音で、低音感もなかなかよく出ている。

 女性ボーカルの声の再現はナチュラルで抑揚の付け方やニュアンスの変化もよくわかり、アコースティック楽器の音色の再現もリアルな感触だ。

 クラシックのオーケストラ演奏も、各楽器の粒立ちのいい再現や、深く響く低音楽器の音色など、雄大なスケール感と繊細な再現をうまく両立して聴かせてくれる。

 高解像度指向の音ではあるが、小粒になることもなく、なかなかバランスのよくできた音になっている。

 価格的にも上位で、フルデジタルアンプの「S-Master HX」搭載やLDAC対応など、音質に力を入れた作りとなっていることもあり、完全ワイヤレス型のWF-1000Xと比べるとこちらの方が音楽再生の満足度は高い。

 ワイヤレスの快適さをどこまで求めるかが選択のポイントになるが、音質的な部分も重視するならば、WI-1000Xの方が有利だと思う

ワイヤレスの高音質を知らしめた
オーバヘッド型の2代目モデル「WH-1000XM2」

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WH-1000XM2の外観。基本的な見た目は従来機とほぼ同じ。シンプルなラインで構成されたモダンなデザインだ

 最後は、オーバヘッド型の「WH-1000XM2」だ。こちらは、MDR-1000Xの直系の後継となるモデルで、デザインなども踏襲している。

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両側のハウジングの上部にあるノイズキャンセル用のマイク部分

 ノイズキャンセル機能は外側と内側にマイクを備えたハイブリッド型の「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を採用。さらに、NCボタンを長押しすることでテスト音を再生し、個人に合わせてノイズキャンセル特性を最適化する「NCオプティマイザー」も備える。音質はもちろんだが、機能的にも最上位となるモデルだ。

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左側のハウジング部分には、NFCマークがある。外観の仕上げもシボ加工となっており、質感の高いものだ
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右側のハウジング部分はタッチセンサー内蔵で、音量や再生操作ができる。全体を手で触れることで周囲の音だけを聴くことも可能だ
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左側ハウジングの周囲には、電源ボタンやノイズキャンセル機能の切り替えボタンがある。有線接続用のステレオミニ端子もある
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右側ハウジングには、充電用のmicroUSB端子が用意されている

 使用するドライバーユニットは、40kHzまでの高域再生が可能な40mmHDドライバーユニットを専用に開発。LCP振動板にアルミニウムコートを施したもので、高音質モデルでも採用されている振動板だ。軽量CCAWボイスコイルを使用して高域の再生レスポンスを高めている。

 デジタルアンプはS-Maste HXで、ハイレゾ並の音質へアップコンバートする「DSEE HX」も備える。LDAC対応と合わせて、ハイレゾに近い音質でワイヤレス再生が可能だ。バッテリーの寿命も最大30時間と十分以上の長時間再生ができる。

 NFC接続のためのマークは左側のハウジングに配置し、右側のハウジング部分は、上下で音量、左右で曲送り/戻しが操作できるタッチセンサーとなっているなど、MDR-1000Xの便利な部分はすべて踏襲。

 厚めのイヤーパッドは、低反発ウレタンフォームを採用した立体縫製を採用しており付け心地もバツグン。もちろん、折り畳んでコンパクトに収納することもできる。

パワフルで聴き応えのあるサウンド
ワイヤレスとは思えない質の高い音

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装着イメージ。耳の周りをすっぽりと包み込むアラウンドイヤータイプで、装着感は良好

 装着すると、イヤーパッドが耳全体を包み込み、装着感は良好。側圧も適度でしっかりとしたホールド感が得られる。屋外では少々大げさに感じるオーバーヘッド型だが、気軽に持ち運んで使いたくなる快適さだ。

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立体縫製のイヤーパッドは柔らかい感触が好ましい。奥には40mm口径のドライバーがある

 音はパワフルで、低音のエネルギー感も素晴らしいが、全体に厚みのある音で聴き応え十分。

 クラシックでは、オーケストラのスケール感がしっかりと味わえるし、ステージの音の広がりも豊かに再現される。

 パワフルな低音はやや量感が多めにも感じるが、低音楽器の奏でる通奏低音があいまいになるほどではなく、リズムがもたつくようなことはない。個々の楽器の粒立ちは十分だが、高解像というような細みの再現ではなく、適度な厚みを持った自然な再現となる。響きが豊かに再現されることもあり、コンサートホールで聴くようなナチュラルな再現だ。

 女性ボーカルも、しっとりと柔らかい感触で、ニュアンスを豊かに伝えてくる。落ち着いた曲もなかなか気持ち良く聴かせてくれる。

 音質の良さは見事なもので、Bluetoothで再生しているということがまったく気にならない。しかもパワフルで聴いて楽しめる音になっており、実にバランスよく仕上がっている。

 有線接続ではハイレゾ対応の音質を楽しめるし、ワイヤレス用と言わず音質追求派にもぜひおすすめしたいモデルだ。

次回は新ウォークマンの新機能「USB DAC」機能をじっくりと解説

 次回は、新ウォークマンが採用した新機能の「USB DAC」機能を紹介する。PCの再生音をさらにグレードアップできるので、PCメインで音楽再生を楽しんでいる人なら注目だ。