当初、その“ライトなERP”として、各拠点が事業や業務の特性に応じて様々なパッケージ・ソフトを採用していた。しかし、事業ごとに異なるERPシステムで個別最適化が進んだ場合、リコー全体として経営情報を一気通貫で見通すのが難しくなってしまった。このままでは企業コンプライアンスの低下につながる恐れもある。この問題の解決策に頭を悩ませていた石野氏は、2016年9月に米国オラクルが開催する年次イベント「Oracle Open World」に参加した際、GEがオラクルのパブリック・クラウド型のERPシステム「Oracle ERP Cloud」で新興拠点の統合を進めていることを知る。

「GEも、当社と同様に2 Tier ERPのアプローチを採り、ライトなERPとしてOracle ERP Cloudを利用していると教えられました。パブリック・クラウドならばスピーディに導入できますし、運用保守の負担も軽減できます」(石野氏)

 また、これを社内標準として利用すれば、コンプライアンスを効かせながら経営情報を一気通貫で見ることも可能になる。

産業用インクジェットなど
4事業でOracle ERP Cloudを採用

 リコーがOracle ERP Cloudの本格的な検討を始めたのは今春である。同社は現在、2017年4月に発表された第19次中期経営計画において、「構造改革」「成長事業の重点化」「経営システムの強化」という3つの基本プラン、およびValue Proposition(顧客提供価値)として「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES (エンパワーリング・デジタル・ワークプレイス)」を発表した。

「成長事業の重点化」においては、重点化する成長事業の1つに産業用インクジェットがある。インクジェット技術は壁紙やサイネージ広告、Tシャツ、タイルの印刷など広範な用途で活用が進んでおり、リコーはプリンタ・ヘッド技術のOEM提供や特定用途向けプリンタの開発/提供で事業を拡大している。

 この産業用インクジェット事業をはじめとする4つの事業環境を支える基盤として、同社は2Tier ERPとして候補に挙げたいくつかのERPを機能面/コスト面で検討した結果、Oracle ERP Cloudの採用を決める。最終的な決め手となったのは、Oracle ERP Cloudの豊富な機能と導入テンプレート、セキュリティなどだ。それに加え、オラクルがプロジェクトの成功に向けて強力な支援を約束したことだと石野氏は明かす。

「オラクルが本社も挙げて全面的にバックアップすると約束してくれました。共同でプロジェクトに取り組み、ノウハウの移転も含めて最大限に協力すると確約を得たことが最終的な決め手となりました」(石野氏)

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